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チョコ御題5、五つのお伽噺1の二人。
大学生黒鋼と三大欲求をどこかに置き忘れて生まれてきたファイ。
性欲、睡眠欲はクリアしたので残りの食欲。
そういや由和に「四月一日見るとお腹がすく気がする」と言ったところ、「四月一日は主食だから」と答えられました。
そうだね、主に百目鬼のね。
百四で書きたいネタがあります。が、どう考えてもただの怪談で終りそうです(笑)
黒ファイ(女体)のエロはエロスな場面が思った以上に長引き、もう少しかかりそうです。
うん、この三分の一の長さで終らせるつもりだった私が馬鹿でした。
拍手ありがとうございます!
固形、あるいはそれに準ずる食品はカロリーメイトかウィダーインゼリーしか口にするのを見たことがない人間が何故か弁当箱を持参していた。
実は味覚がない、食欲が存在しないなどと噂された人間がだ。
ざわめきが一斉に広がった研究室で唯一動じる気配のない黒髪の美女は、つつとファイに近づいて尋ねた。
「お弁当に切り替えたの?一人分にしちゃ随分量が多いみたいだけど?」
「違いますよー、これは人に作ってきたんです」
確かに小さいとはけして言えないサイズである上に、二段重ねとあっては中味もかなりの量だ。
「自炊もするけどあんまり得意じゃないって言ってたし、でも人一倍食べるのにお米とかパンみたいな炭水化物だけだと体に悪いしー可哀想かなぁって」
誰に、とは言っていないが美貌の女教授の脳裏には前の飲み会以降ファイが懐いた学生がすでにピックアップされている。
「人の心配もいいけれど、まず自分が正しく生活なさい。貴方一度研究に没頭すると何を口に入れても分からなくなるんだから」
「んー、でもこのあいだ食べたご飯は美味しかった気がします」
「何食べたの?」
「コンビニのおにぎり。高菜の入ったやつだったと思うんですけど…」
「自分で買ったの?」
珍しい、と目を丸くさせる教授に(たとえそれがコンビニ食であっても)ファイはゆるく笑って首を振る。
「分けてもらったんです。朝ごはん食べないでコーヒーだけで済ませようとしたら『ちゃんと食え』って怒られちゃいましたぁ。
自分が食べるのに買ってたおにぎりだったから悪かったかなあ、って思ったんですけど」
最近のコンビニのご飯って案外美味しいんですねー。そう言って呑気に笑う彼はまだ気がつかないのだろう。美味しいと思えた理由には。
(まあいいわ。この様子なら、どうせそのうち気づくでしょうから)
自分の手がけた料理を誰かに食べてもらいたいと思う気持ちにも。
手製の弁当を手にしながらワクワクと人待ち顔で携帯の画面を見つめるファイの横顔を眺め、零れたのは温かな微笑みだった。