こんな気持ちが

堀鐔小ネタです。


拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。

どうしようか、とファイは頭を悩ませた。
誰もいない体育教官室。
防犯のため、教職員のいない時は鍵のかかった部屋。
偶然入れ違いになる寸前だった黒鋼から直接鍵を渡されてファイは入室した。

だから、黒鋼本人が気付いてなかったであろうものに気付いてしまったのだ。

部活動の要綱や届けに紛れこませて黒鋼の机に置かれた封筒。
学校の届けや書類とは全く異なる淡いクリーム色の紙。
『黒鋼先生へ』
そう書かれた文字は少し丸みを帯びた可愛らしい、女の子らしい雰囲気だ。


嫌だな、とファイは唐突に思う。
誰かの恋心が黒鋼に届くことが。
誰かの思いを、今すぐに握り潰したくてたまらない自分の心が。