貴方にあげたい

のばらシリーズクリスマス小話。

携帯からアップ出来る文字制限数をオーバーしたため文章を大幅に削っています。
お正月には直したい。


それでは明日も戦場(仕事)に行ってきます。


では下からどうぞ。

プレゼントを忘れた、とファイが言うと、黒鋼はひどく怪訝そうな顔をした。
「こないだからゴソゴソしてたのは？」
すかさず突っ込まれて言葉に詰まる。
「…作ってたけど失敗したから、何か買おうと思ったんだけど間に合わなくて…」
だから今度買ってくるね、と無理に笑顔を作ってみせたけれど、何も答えない黒鋼の視線から逃げるようにうつ向いてしまう。
本当はひと月前から準備していたのだ。
深いボルドーのマフラーならば気に入ってもらえるだろうかと、毎日寝るのも惜しんで一週間で編みあげて、今朝までは手渡すのを想像して、楽しみで待ち遠しくてならなかった。
けれど『手作りは重いから嫌だ』と出掛ける間際のテレビの音がひっかかってしょうがない。
『趣味じゃない物貰っても困るし売ってる物の方が綺麗』
小さなひっかかりは時間が経てば経つ程肥大して、ファイはすっかり憂鬱になっていた。
それでも、未練がましく持ってきてしまったマフラーはどうしようもなく、自分の首に巻いてある。ため息をついて、ギュッとマフラーの端を握った。

「ならこれでいい」
耳に聞き慣れた低い声が飛び込んで、次には首元に冷たい空気が触れる。
抜き取られたマフラーは彼の手の中。