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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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リクエスト長編続きです。

開き直ってもうお正月にエロもの更新を目指そうと決めた今日この頃。

では下からどうぞ。






口づけも、触れ合うのも初めてではない。
けれど、生まれついての性別で抱きしめられるのは、こんな風に触れられるのは初めてだ。
男であった時でさえ、黒鋼の体はファイよりも二回りほど逞しいものだった。
女の体の今、抱きしめられる力が怖いほどに強く感じる。
「黒様…」
求められていると錯覚してしまいそうになる。
旅の間、繋いだものは体の欲求だけだ。そうでなければ。

そうでなければ。

「駄目、だよ…?」
期待してしまいそうになる。
ファイが、黒鋼の心を手に入れられると。ずっと願っていたことが黒鋼に通じたかのように。
思い、思われ。二人の心まで通じ合っているのだと。
自分だけの、都合の良い思い込み。黒鋼の、置かれた身分や立場を思いやれもしない身勝手な自己満足。
ずっと抑えていたものを、これからも押し殺し続けるのだと泣き出したい気持ちで、やっとそう言えたファイに黒鋼は表情を歪ませた。
「……るな」
「え?」

「ふざけるな」

はっきりと告げられた言葉に、ファイの全身が凍りつく。
嫌われても、罵られても。それでも、黒鋼に拒絶される最後の一線だけは耐えがたい。
指先の感覚が無くなるような、そんな不安定さも今は気にならない。

「正室も側女ももういらねえ」

それは、黒鋼のこれからの人生のためにも、諏倭の今後のためにも必要なはずだ。そしてそれはファイが、重苦しく痛む心を押し殺して、願ったことなのに。
黒鋼は、それが分からないような愚昧な男ではない。
けれどそれさえも、いらないと突っぱねられるのだろうか。
もしそうなのだとしたら、いっそこの場から消えて無くなってしまいたい。
ファイは身の内側から凍りつくような風が吹いてくる気がして、僅かに身を震わせた。
「黒様。…だって」
泣きそうに掠れた声に、返る応えは短い。


「お前以外はいらない」

それは今までに感じたこともないほど、熱い声だった。

熱い、吐息だった。


信じられない思いで、その声を聞く。
言葉よりも先に、ぎゅっと縋りついていた。
胸がふさがれたように苦しい。
落とされた唇に、一層腕の力を込めた。

堪えようのない熱さの滲む黒鋼の声は、まるで懇願のようで、ファイを芯から揺さぶる。

男の体だった時には何度も抱き合った。
丁々発止の際どいやり取りも、つかの間の安らかな温かさも、分かち合い互いにそれなりに充足を見出していたはずだった。
けれど、まるで。
黒鋼の懇願にも似た声は、ファイ自身を欲しているように聞こえてくる。

重ねた唇が離れる僅かな隙間に、そっと名を呼ぶ。

「く、ろ…さま」

自分の望みと、同じものを抱えているのか、と期待さえしてしまう。
駄目だ。そう言い聞かせようとしても、ファイの手は止まってくれない。
もっとその熱を、とねだるように黒鋼の首を引き寄せる。がっしりとした、男らしい体躯。腕に感じるその逞しさをひとつひとつ刻み込むように、ファイはしがみつく。

「黒様」

零れた声にかぶさるように、唇が重ねられる。歯列を割り、侵入してくる舌をファイは抵抗なく受け入れた。
夜着の帯が解かれ、襟が肩を滑り落ちていく。肌寒さにふるりと震えた素肌は、触れられる期待に瞬く間に温度を上げた。

 

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