[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
旅の間にいろんな国に行っただろうから、こんなこともあるかもしれない、という妄想。
お休みだったので美容室行ってきました。
誕生月は技術料が安くなるので、ちょっと高いトリートメントとかつけてみた!
マッサージ気持ち良い!髪がつやつやー!
ついでにセール覗いたり、とちょっと買い物を。
はあ…財布軽くなった。これで今月はお休みの日に外でなくてもいいはず…!
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞー。
長い旅を終えて日本国へと戻った黒鋼に、少々変わった仕事がちらほらと舞い込むようになったのはいったいいつの頃だったのやら。
忍軍とは直接関わりのあることではないが、それでも彼の主に名指しで呼びつけられてはそれを無視も出来ない。
渋々といったていを隠しもせず、決まって黒鋼は同居人でもあるファイを連れて姫巫女の御前へと赴くのだ。
「任務以外でほいほい人を呼出してんじゃねえ」
「黒様ったらー。姫にそんな口を聞いて」
周囲を一切気にすることなく、むにむにと黒鋼の頬を抓むファイの手をややも乱暴に振り払うと、黒鋼は己の主に向き直った。
「どうせ呼びつけた内容はこの前と同じだろうが。さっさとしろ」
「せっかちですわねえ」
急ぎで片づけてくださるのはありがたいのですけれど、とたおやかに微笑む姫巫女の手から何枚かの書状が黒鋼に手渡される。
外交関係の書状である。忍軍の筆頭とはいえ、国政に関わりのない黒鋼の目に触れてよいものではない。ファイなどは更に然り、である。
それを堂々と悪びれることなく黒鋼は受け取るとざっと目を通し、ついでに読んだ端からファイに渡していく。
こてり、と首を傾げたファイは懐から出した帳面にさらさらと何かを書きつけると、手渡された書状と共に黒鋼にそれを返していく。時折細かい確認が必要なのか、互いの書状を覗き込んでは口頭での打ち合わせを繰り返す。
やがて半刻も経たないうちに知世の手には、元からの書状とそれと同じだけの数の新たな書状――外つ国からの書状を日本国の言葉に直した書状があった。
「右筆どもに覚えさせろ。それか外交専門のやつら」
「彼らも大陸の言葉はいくつか分かりますけれども、この系統はなかなか…。貴方やファイさんが異国の言葉を覚えて帰ってきてれくれて助かりましたわ」
「お役にたてて何よりですー。でもオレが日本国の言葉の読み書きがまだまだだから、ちゃんと翻訳しようとしたら、一度黒様にも意味の分かる他の国の言葉に直すから、ちょっと回り道ですねー。ごめんなさい」
「いえ、ファイさんが色んな国の言葉を覚えてくださっているから大変助かっておりますわ。本当にありがとうございます」
にこにこと微笑んで謝辞を交わす主と同居人に、黒鋼は小さな溜息を吐いた。
外交関連の書状と睨み合いなど、明らかに自分の仕事ではないだろう、といくら呟いてみたところで二人とも黒鋼の言うことなど聞き入れはしないだろう。
必要に駆られて身に着けたものだが、まさか元の次元に戻ってからもこき使われる原因になるとは思いもしなかった。
戦闘よりもよほど気疲れのする仕事に、黒鋼はもう一度息を吐いた。