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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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日本国永住設定小話です。
あの人の話。

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。







寺が珍しいのか、ファイはきょろきょろと辺りを見回している。
日本国で二人が暮らしはじめ、そう短くはない時間が過ぎた。
迷いが黒鋼にないわけではない。けれど、どうしてもファイを連れて来なければいけない場所があった。
連れて来なければいけないと思った。

「こっちだ」
ファイの手を引き、堂内へと入る。
燈明の中、その人は『在った』。

端正な容貌に憂いをおびた眼差し、苦悩や苦悶。それらを内包しながら、気高く、凛と在るその人。

「あ…」
似てはいなかっただろう。けれど、何よりも似ていただろう。
黒鋼が何か言うより早くファイの唇がわなないた。
彼の知っている―育ての親とも慕った人物とは違うはずだ。
けれど、これもまた黒鋼の知る『阿修羅』なのだ。

物言わぬ像を前に二人は押し黙ったままだ。
ややあった口を開いたのはファイだった。
「…ありがとう」
震えた唇が、黒鋼に向かって微笑む。

「彼とあの人が同じなのかなんて分からない。…でも、君がオレをここに連れてきてくれたことが嬉しい」
ありがとう、と呟く魔術師が泣いているようで。忍者はしばらく動けないでいた。


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