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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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苦労人忍者の子育て話。続きです。
終ってません。
次でひと段落つくのだろうか。


拍手ありがとうございます。

では下からどうぞー。








爆音の中心へと向かうほど、逃げる人の波は溢れかえる。
寺を守護する僧兵も既に黒鋼の姿を咎めるような余裕もない。否、この恐慌状態にそれすら気づいていないのだ。
普段であればけして踏み入ることの許されぬ建物の内部へと黒鋼は土足で踏み入る。神仏の罰などとうに知ったことではなかった。
ぱらぱらと天井が軋むたびに舞う塵芥に軽く頭を振った。未だ続く正体のしれない暴風に建物全体がぎしぎしと歪な悲鳴をあげている。今にも地面から根こそぎ引っこ抜かれ、倒れてしまいそうな勢いだった。
何も知らぬ者が見れば天変地異が起こったのだと思うかもしれない。
時折波打つようにぐらりと床が揺れ、その度にそこかしこで悲鳴が上がっている。
建物が今の状態を保っていられるのも、時間の問題だった。
急がなければこの騒ぎの中心にいるであろう双子の身も危ない。黒鋼は舌打ちすると、腰を抜かして這い付くばるように階段を下りてきた一人の僧を掴みあげた。
貴族も僧も位によって着衣を許される衣の色がある。身に纏う物から察するにこの寺院でそれなりの位につく僧だと判断してのことだった。攫うにしてもある程度上の人間が絡んでいるはずだ。
突如としてあらわれた鬼の形相の黒鋼に僧が小さく悲鳴を上げた。まるで喉が潰れでもしたように、不明瞭に息を喘がせる。
「おい、この寺に双子の餓鬼がいるはずだ。知っているか」
寺には修行に預けられた小坊主などもいるが、さすがに異国生まれの双子は目立つ。どこかに隠しているはずだった。用も無いのに双子の子どもがそろって紛れ込むはずも無い。
ぶるぶると震えながら、僧は首を横に振る。偽りではないのだろう。恐怖を感じながらもなお、嘘のつけるような豪胆な者ならば、こんなにうろたえたりはしない。
舌打ちした黒鋼はその僧を解放し、同じようにして幾人かに問いただしていった。
双子、と聞いて顔色を変えたのは四人目の僧だ。
知っているのか、と続けて問う黒鋼の言葉も耳に入らない様子で歯の根も合わないほどに震えだした。
「おい」
「…恐ろしい…あのような力……、あ、あれは…悪魔だ」
「なんだと?」
「ま、まれなる、魔力を、もつと…あんなはずでは…」
知らなかった、恐ろしい。そればかりを繰り返し涙を浮べる老いた僧侶には既に威厳も何もない。醜く、無様なだけだ。
うわ言のように双子を悪魔と呼ぶこの僧は、おそらく二人の力が暴走する様を目の当たりにしたに違いなかった。
制御して使っていたときでさえ、楽々と岩をも砕くほどの力。暴走すればどうなるのかなど、想像できようはずもない。
黒鋼はぎり、と奥歯を噛み締めた。
「あいつらはどこにいる」
老僧の襟を締め上げると、口から「ひぃ」とみっともない悲鳴が上がった。
ぶるぶると震える指が指し示したのは上階。
「さ、三階、…一番奥の、…」
その瞬間、雷鳴の轟くような音が耳をつんざく。空が破れるような音を立てて落ちてきた雷光に、大きな樹がめりめりと引き裂かれていった。
その後継に黒鋼は息を飲んだ。
焼け焦げた匂いと、止まない雷。
建物の揺れも酷くなっている。
猶予は無かった。


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