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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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危険信号続きです。
残り、後一話です。

え、こないだも同じこと言ってた?はい、構成力が常に不足してますから!(開き直り)
いえ、今回一話にまとめてあげるつもりだったんですが、ちょこちょこ設定みたいなの書き込んでるとどうにも時間がかかりそうで…。
今日中にアップ出来なさそうだったので、キリの良いところまでで上げました。

先日久々に相方と顔を合わせましたが、…うん、無理しないでね、としか言いようのない有様でした。
お土産はありがたくおやつにするのですよ。
死なないように、と言っても冬コミもあるし年明けインテもあるから無理しちゃうんだろうなあ、というのが丸分かりです。
誰かホイミかけてあげてください。私はMP足り無いので無理。レベルの低い遊び人にすら劣るから(笑)


拍手ありがとうございます。


では下からどうぞー。








「こんなまどろっこしい仕事は二度とやらねえぞ」
『仕事でしょ?文句言わないの』
「交渉ならもっと適任なのをあてろ」
少し低めの女の声が通信機器から零れ出る。その画面に向かう黒鋼は渋面を崩さない。

ファイが拘束されたことは表沙汰にはなっていない。
軍としては一騒ぎどころではない醜聞でもある。表沙汰に出来ようはずもない。
いくら『ウィザード』という二つ名を冠しているとはいえ、たった一人の人間に軍がここまで翻弄されたということは軍全体の沽券に関わる。
ウィザードを捕らえた、と発表するよりも内々の処理として済ませたい軍上層部の思惑と、もう一つ。
黒鋼が今話している女から示された条件にファイの身柄の安全があった。
黒鋼本人にとってはファイがどうなろうと至極どうでもいいことである。
軍規に反して除隊される人間もいれば秘密裏に存在ごと葬り去られる人間もいる。軍法会議にかけられ処刑される軍人や処分されるスパイの数などいちいち覚えてなどいない。
その必要もないような些事である。
詳しい話をこの女から聞きたいわけでもなかった。自分が動くのに支障のない程度、最低限の説明だけしてもらえればそれでいい。
ファイを殺さないでおくのも、黒鋼本人が決めたことではない。この女との約定がある、と決めたのは黒鋼ではなく他の人間だ。
まだ幼い少女は可憐な笑みでファイを永らえさせることを黒鋼に告げた。
外部からは婚約者だなどとくだらない噂をされてはいても、当人たちの間柄はいたって普通の幼馴染程度のものだ。それよりは互いに幼い頃から周りを大人にばかり囲まれて育った者同士、兄弟や同胞といった仲間意識の方が強いかもしれない。
その彼女の判断を巨大な組織を率いる人間として甘い、と思いはしても非難をするつもりにはなれない。
力ありきの軍とは、また違う闘争が彼女の世界にも存在する。そこで今まで生き抜いてきた少女の決断であるのならば黒鋼が口を差し挟むようなことではないのだ。
彼女も黒鋼も、血を見て喜ぶような偏狂な趣味は持ち合わせていない。
生きる選択肢が存在するのならば、その方が幾ばくかはマシに思えた。
『口で勝ったってしょうがないのよ。ファイに必要なものはそんなものじゃない』
「知るか」
『そうね。今はそれでいいわ。甘い言葉や口先だけの慰めよりはね』
そんなものでは届かない。と言外に告げる女の言わんとすることは黒鋼にも分かった。
ファイを拘束してから数日。彼は一切の外界との接触を拒否した。
反応したのは唯一、彼の主であったアシュラの死についてだけだ。
それ以降、一切の食を断ったファイを強制的に眠らせ、点滴で栄養剤を流し込んでいる。
話しかけても何も反応しないのだと、一時的に黒鋼の副官として派遣された蘇摩が憔悴した様子で話したのは先ほどのことだ。
『貴方に彼女の存在があったように、ファイにもあの人がいた。けれどもそれはもう失われてしまった』
「…」
『貴方は知っているでしょう。自分を取り巻く世界の全てが壊れてしまうことを』
僅かに黒鋼の眉が寄せられる。
「俺にどうしろってんだ」
『それを決めるのは、あたしじゃないわ』
憮然とした黒鋼だが、無情に通信の終了を知らせるアラームが鳴る。
あら、時間ね。と歌うような声に黒鋼は無言で返した。子どもじみた態度で報復にもなりはしない。
少しだけ笑うような気配が画面越しに伝わったけれど、相手にしては珍しく馬鹿にした風でもなく優しささえ感じられるかすかな気配に、黒鋼も短く別れを口にした。
無駄な甘えを許すことはない女だが、けして情のない人間なわけではない。
覚悟を決めたことに対してはそれに見合った協力を惜しむことはない。
何も映さない画面をじっと見つめ、黒鋼は腕を組んだ。

 

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