一

十二国記パロ小話です。

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では下からどうぞ。

一人の罪人がいるとして。
一人の罪人を殺せと命じられればファイは拒否する。
一人の罪人を殺して百人の民を救うのだと命じられればそうする。
百人の反逆者を殺せと命じられて一万の民が救われるのならばそうする。

そうして、どんどん数が増えていって。

全ての民と、王一人を天秤にかけた時――――。

王しか選べない。

「これってちっとも慈愛の生き物じゃないよねえ。黒様ー」
「そんなことで頭を悩ませてる間は充分おめでたいっつーことだ」
「…黒様、黒様」
「あ？」
「オレは、黒様しか選べないから、だから…オレは黒様が終らせてねー」

ぐしゃぐしゃに、金の鬣を掻き回されて、優しさしか感じられない。