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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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僕だけのかみさまの続きです。
あと二話で終わります。

先週末にさちさん宅のチャットにお邪魔した時には、続きをどうするか決めていなかったなんてそんなことは…(目を逸らす)

次で終らせてさっさと許可いただいてるネタを書かなきゃ!
あと深刻なのが、疲れすぎててエロテロリストなのにエロ神の召喚が出来てない!

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。


 








駅から家までの帰り道を黒鋼は歩いていた。心なしかその歩みは急いたものになっている。
理由など一つしかない。
いつもならとっくにファイが店に出勤している時間だ。けれど、もしかしたら、と思わずにはいられないのだ。
古びた安アパートの窓から、室内の灯りが零れているのを見て、思わず駆け足になる。
自分の部屋の扉を、確信をもって開ける。いつも開閉の度に軋む耳障りな音も、今は気にならなかった。
室内独特の温かな空気に、優しい料理の匂いが混じって鼻をくすぐる。
「おかえりなさい」
扉の開く音に振り返ったファイが、微笑んだ。
そんな些細なことが気恥ずかしくて、黒鋼は短く「おう」とだけ答えた。


アンチョビとレバーのブルスケッタにミネストローネ、ハッシュドポテト、牛肉と茸のガーリックソテー、水菜と貝割れにカリカリに焼いたベーコンをまぶしたサラダ。

久々のファイの手料理を囲んで、その湯気さえも堪能する。
いつもの味気ない食卓とは雲泥の差だった。
「簡単なものばっかりだよ」
ファイはそう言うけれど、そもそも黒鋼にはどうやって作ればいいのか分からないようなものばかりだ。
勢いよく空いていく皿に、ファイは微笑を絶やさない。
仕事は休みになった、というファイに、店のオーナーの商売っ気の無さを思い出して黒鋼は呆れた。
商売する気がないわけではないのだろうが、何よりも「面白い方が優先」とばかりに人を揶揄う思いつきには事欠かない人間だった。
どうせ昨日の店でのファイと黒鋼のやり取りも知った上で、今日のこのことも含めて後々盛大に突かれるに違いない、と予想できてしまう。今から頭の痛い思いさえした。
だからと言って、ファイと過ごすのが嬉しくないわけではない。
目を離すのが惜しい、とふと考えてしまった自分の独占欲の強さに、黒鋼は自分自身で呆れた。

働かざる物食うべからずとばかりに、自分がすると言うファイを制して黒鋼は食べ終えた皿を洗う。
所在無げにファイが食卓代わりの小さなテーブルの横で足を崩していた。
どうも今夜はこのままここに居座るつもりらしい。
黒鋼の一挙一足にくるくると瞳を瞬かせているのが、飼い主に構ってもらうのを待っている仔猫のようで、内心で可笑しさと微笑ましさを噛み殺す。
仔猫もどきは黒鋼が捲り上げた袖を直しながら傍にやってくるのに、嬉しそうに笑みを深くした。
ストレートに愛しさを向けてくる相手に、悪い気はしない。
様子を窺うように黒鋼の目を覗き込みながら、じわじわと体を預けてくるファイの頭を不意打ちでぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。
「もーう、黒様のばかー」
膨れっ面を作ってみせるファイはそのまま黒鋼の膝にころん、と頭を預けた。
無防備に投げ出す四肢には昨夜のような緊張の色はない。
柔らかくてふわふわとした細い金糸が黒鋼の指の間を擽る。なんだか本当に猫を撫でている様な気がした。
「…しないの?」
体を預けたまま、ファイがこてりと首を傾げた。そうすると掌に擦り寄るような仕種が、まるで甘えているようにも見えた。
実際甘えているのだろう。
何を、と具体的なことは一切言わなかったけれど、さすがにそれが分からぬほど愚鈍ではない。増してや、今の彼との関係を思えば。
「お前はしたいのか」
逆に問い返せば、困ったように眉がへにゃりと寄せられた。
「ん~、黒様のこと好きだからしたいよ。したいけど…したいって思う気持ちもあるんだけど…」
付き合う、ということがイコールで体の関係になるのが当たり前なのだと、いつだったかファイはあっけらかんと言っていたことがある。
そんな感覚が黒鋼には信じられなかったが、それを是とする関係もあるのだと一応その時は納得した。
「でもね…黒様とは、なんだかそういうのだけじゃなくて、もっと別のものがあったらいいなあ、とか…。今までの人みたいなのは嫌かも、ってちょっと考えた」
今までで一番一番欲しい人なのは本当、と内緒話のように囁いたファイに、黒鋼は口接けをひとつ落とした。
「別に焦る必要もねえよ」
そう言った黒鋼に、ファイはまぶしそうに瞳を眇めて腕を伸ばした。
引き寄せられた体温と、笑みの気配を、もう一度唇の熱で分かち合う。



 

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