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リクエストは通りすがりのエロテロリストさんから「エロ」でした!
ストレートです(笑)
で、続きます。エロが書き終わらんかった…。
ごめんなさい。
本日家族の職場の揉め事が家の方にもちょっと影響してきてて大変な感じです。
その関係でバタバタしてて時間がとれてません。
申し訳ありませんが数日更新できないかもです。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞー。
宝町駅北口から徒歩5分の場所にその店はある。
創作和食諏倭亭。
駐車場はないが地下鉄の駅がいくつか近くにあるおかげで人の入りは絶えない。
店主が強面なおかげでなかなか馴染みにくい印象なのだが、手頃な値段で旨い和食と酒が楽しめるとあって、会社帰りの客が良く利用している。
週末ともなれば一階のカウンター席とテーブル席、それに二階の座敷は予約客だけで手一杯ということもしばしばだ。
料理の味も魅力の一つだが、ここにはもう幾つか名物が存在する。
その一番が女将だろう。女将、といっても男なのだが。
すらりと背の高い、柔和な笑顔の女将に入れ揚げて通い詰める客も多い。
もっともその多くは、「いらっしゃいませ」と招き入れられたその笑顔のままに優しい拒絶を与えられることになるのだけれど。
敏い者はすぐに気がつくはずだ。
営業時間中にそうとあからさまに分かるような振る舞いこそしないが、よく見ていれば店主と女将の関係は驚くほど近い。
微笑ましさの中に見ているほうが照れくさくなってしまうような、そんな仕種を端々に見出して、そうして皆気がつくのだ。二人の仲に。
中にはそれでも諦めきれない人間がいることもあるのだけれど。
おい、と低い声で呼ばれて振り返る先には黒鋼の姿があった。
一目で、ああ今機嫌が悪いのだな、と分かる顔をしている。
その指先に小さな白い紙が挟まっているのを見て、ファイはしまったなあ、と考えた。見つからないようにこっそりと処分をしておくべきだった。
自分でも気がつかないうちに袖に放り込まれていた客の一人の電話番号だ。おそらくは仕事用でない私用の携帯の番号なのだろう。
個人情報だからと仏心を出さずに貰ってすぐにゴミ箱にでも放り込んでしまった方がよかったのだ。しかしあいにくと週末の書き入れ時でそんな間がなかった。
1、2階を店舗として使っている建物の3階が二人の住居にあたる。着替えの際にでも落ちたのだろう。自分が気づきもしないで黒鋼に拾われたのは実に不運だった。
頭の中で店のスケジュールをちらりと計算する。
定休日は火曜日。店の閉店時間は一時なので、日付の変わった今は月曜だが果たして今日は開店できるのかどうか。
考えてファイはあっさりと思考を放棄した。
ここ最近は働きすぎだ。たまには予定外の連休も悪くない。
あからさまに不機嫌な黒鋼の相手の顔を見る。
このわんこの機嫌を直しておくのも必要だろう、と。
割り切ればあとのファイの行動は早かった。
「どうするつもり?」
挑発するようにファイが笑う。
婀娜めいた笑みに黒鋼の背中をぞくりと甘い戦慄が駆ける。
黒鋼の中で苛立ちと相まって嗜虐的な気分が高揚してくるのが手に取るように分かった。
こんなことに喜びを見出す自分もまったくどうかしていると思うのだけれど。
唇がいっそう深く、笑みを刻んだ。