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初夜です。
高校生奥様設定の初夜です。
タイトルをストレートに初夜にするのはさすがに躊躇いました。
いや、もう高校生ではないのですが、うちでシリーズ名がキチンとしてるのって「のばら」くらいですよね…。
何故かと言うとネーミングセンスがないのでつけるのが億劫に…。
さすがにここまでパラレルが多くなると(多すぎです)ごちゃごちゃするので、ちゃんとシリーズ名決めます。
今回はえろまで入りませんでした。
次回から頑張ります。
旦那様が。それはもう。
では下からどうぞ。
もう二年以上二人で暮らしてきた部屋の一室。
ベッドには真新しいシーツが敷かれ、今夜が特別だということを一層意識させる。
16歳の誕生日に結婚してから既に二年余り。
その間、清らかな関係を保っていた二人の距離にようやく終止符が打たれるのだと、ファイは噛み締めていた。
今日、二人の結婚式をした。
とっくに籍はいれてあったのだが、教師と生徒という立場上ファイが高校に在学中は二人の関係を大っぴらには出来なかったからだ。
黒鋼が新学期の準備に奔走している春休みの間、ファイは黒鋼の実家で義母と結婚式の打ち合わせをしていた。
ウェディングドレスも捨てがたかったのだけれど、黒鋼の母親が大事にしまっていた花嫁衣裳にほとんど一目惚れ状態で、ファイはメインの衣装を白無垢と打ち掛けに決めた。
女二人の打ち合わせなので、衣装に関しては止まるところを知らず、結局はドレスも着ることになって後から打ち合わせに合流した黒鋼はお色直しの数に本気でげんなりとしたのだが。
それでも、入念に化粧をして飾りつけた花嫁の平素とは違う美しさは祝い客の心を掴んだ。
ファイにとってはそれ以上に、珍しく黒鋼が「綺麗なもんだな」と褒めてくれたのが忘れられなくて、化粧を落とすのを躊躇って何度も鏡を見直してしまった。
今日のために用意されたネグリジェは白を基調にあまりうるさくないフリルをレース使いでファイの若い肢体を覆っている。その一方で、透けそうなほどに薄い布地は淡く肌色のラインを照らし出し、大きくざっくりとV字に開かれた胸元は白い肌を見せ付けて言いようのない色気を醸し出している。
寝台の上に座ったファイはぎゅっと膝の上で手を握り締めた。
下着だって吟味して子どもっぽくないけれど清楚で毒々しくなくて、かつ男心に訴えかけるようなものを吟味してある。
シャンプーだって頑張って色んなお店を回って、今日のために特別に買ってきた。
今までに何度も何度も思いつく限りの方法で黒鋼をその気にさせようと誘惑してみたものの、相手はまるきりこちらを子ども扱いで良いようにあしらわれてきた。
けれど、今日こそは。
学校は卒業した。結婚式も済んだ。明日から熱海に三泊四日の新婚旅行なのだ。何としてでも今日、黒鋼と本当に夫婦になるのだとファイは固く決めていた。
いつもより時間をかけて入浴し、全身を思いつく限り磨き上げて自分自身の仕上がりを確かめる。
ただ、ひとつだけ。
いつもファイのことを抱き締めてくれるあの腕が、どうやってファイに触れてくるのか。想像が全く出来なくて少し不安だった。
風呂から上がった黒鋼が寝室に歩いてくる足音を聞きつけてファイは身を強張らせる。
これで今夜も子ども扱いでいなされてしまったら、きっと泣いてしまうだろう。寝室の扉が開くのを言いようのない焦燥に襲われながらじっと待った。
一方の黒鋼はというと、寝室の扉を開けた途端にファイがなんとも心細そうな顔をしていたので驚いた。
今にも泣きそうな顔に、ひょっとして怖がられてるのだろうかと思ったが、ベッドに腰掛けた瞬間にファイに抱きつかれてそれはないのだと知れた。
「しよ?」
どうにか声だと分かるギリギリの吐息が耳を打つ。震えて掠れているそれが今までのどんな誘惑よりも覿面に黒鋼の理性を揺さぶった。
けれど、黒鋼が肩に触れようとするとびくりと身を引き、視線を合わせようとはしない。
緊張で強張ったファイの姿に黒鋼が苦笑する。
今までセックスに関してはどちらかというと開けっぴろげにしていたファイが、いざ実際に行為を目の前にするとがちがちの固まってしまっているのが可笑しい。
それこそ今まで待ったのだ。もうしばらくなら我慢できるだろうと思った黒鋼は、やめておくか、と耳打ちした。けれど。
ふるふると首を振り、ファイはそれを拒む。
きゅっと唇を噛み締めて黒鋼を仰ぐ。
「早く、本当にお嫁さんにして?」
可愛らしいお願いに答えたのは軽いキスだった。
幾晩も二人で同衾したベッドの上に横たえられ、いつもはその横で寝ていた黒鋼の体が、今日はファイを真上から見下ろしている。
ゆっくりと力を抜いていくファイの体に黒鋼の掌が触れた。