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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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20万ヒット記念フリリク企画。
雪見より様からのリクエスト「四月馬鹿シリーズ、休日に家族でお出かけする話」です。
スーパーにお出かけです。

陰謀やらエロやらはがんばってネタを考えているので少々お待ちを…。
二月は連休が一回あるから頑張る。頑張って今月で出来る限り書く…!

では下からどうぞー。






昼前のスーパーは昼食の惣菜やその日のセールを買い求める客で溢れかえっている。
人の気配が溢れかえる穏やかな日常風景の中、四月一日は固まっていた。
腰痛でも精神的にショックなことがあったわけでもない。だが動けないでいたのだ。
四月一日にとっては非常に不本意なことに、けれどまぎれもない日常の一端でもある。
霊障。乱暴だが、簡単に言うなら金縛りにあっている。
オカルトを非常に胡散臭いものとしてしか捉えられない一般的感覚では、霊障とひとくちに言っても理解されない。
けれどそれは当事者にとっては非常に切実な問題なのだ。
ぎりぎりと脂汗の浮く額。ぼそぼそと耳の奥からか細い人の声が頭に侵入してくる。
低い、女の声だ。恨みがましい、負の感情のみに満ちたその声に背筋が冷たくなる。
まずい、倒れかねない。と思った時だった。
足元にぽふんと軽い衝撃。それとともに全身に絡まりつくようだった重みがふっと消え、辺りの空気さえも清浄になったようだ。
「え?」
思わず見下ろした先には緑色のもこもこ。緑色の怪獣がいた。
「わたー」
怪獣が四月一日を呼ぶ。にぱ、っと四月一日の足にしがみ付いて笑っているのは、四月一日が非常によく知る人たちの子どもだった。



ご機嫌で箱入りのビスケットを父親に見せている息子の姿を可愛らしく思いながらも、ファイはごめんねえ、と教え子に謝る。
ファイと黒鋼の大事な大事な怪獣さんは、ベビーカーから脱出イリュージョンを繰り広げ迷子になっていたかと思うと、いつの間にやら顔見知りの生徒にお菓子まで買わせていた。
恥ずかしいやら安心したやらで困ったように笑うしかなファイの横で、割と本気で黒鋼が息子を叱りつけている。
にこにこご機嫌だった息子がしょんぼりと眉を下げるのは可哀想だが、きっちり叱っておかねばならない。今回はただの迷子ですんだから良かったものの、見ていないところで誰かに迷惑をかけていたり、怪我をしたり、最悪誘拐なんてことになったらと思うと本当に心臓に悪い。

怒られてふにゃりと泣き出した怪獣は、それでも怒っていたはずの父親に抱き上げられてぽすんとその肩に顔を埋めた。
「四月一日、悪かったな」
息子を叱り終えた黒鋼がその背中を叩いてあやしながら四月一日に謝る。
迷子を保護したついでに菓子まで買わされた教え子に心底申し訳なく思っているらしい。
ファイも黒鋼も慌ててお菓子の代金を払おうとしたのだが四月一日は断った。
「いやー。むしろオレがちびちゃんに助けてもらったんでそのお礼で」
「お礼?」
白昼金縛りにあっていたのを助けてもらったのだと話すと、黒鋼とファイはようやく泣き止んだ息子をしばし見やる。
四月一日の霊感体質は学園でも有名で、知らぬものはない。
「しょっちゅう妙なもんを乗っけてくるのよね」と言いながら理事長が何やら怪しげな札をさらりと書いてやっていたこともある。
悪質でついでにやたらと力の強いものに狙われるらしい。不憫な体質だと黒鋼とファイはしみじみ思ったものだ。
「お前そんなことできたのか」
「?」
思わず黒鋼が息子に話しかけると、小さな怪獣は何を言われているのか分からないとでも言うように首を傾げた。
無自覚のようだ。
「そういえば百目鬼君も見えないし分からないけど悪いものが寄ってこないんだよねー。体質かなー」
黒様のお母様って神社の家系か何かだったよね、と付け足すファイに四月一日もなるほど、と頷く。
学園の理事長である侑子曰く、見える見えない、感じる感じないに関わらず幽霊や悪しきモノの方が苦手とする人間が稀に存在するという。
何故かはわからないが力の弱いものやただの雑霊ならば傍に寄っただけで祓われてしまうらしい。
もっともそれは普通の人間には分からないし、なにより本人が意識してのことではない。
それでも四月一日には本当にありがたい存在だ。

「先生たちのところでベビーシッターやりたいなあ…」

思わずぽつりと漏らした四月一日の声が聞こえたのか、泣き止んだ怪獣が遊びに来いとでも言いたげに四月一日の袖を引っ張る。
「お」
「四月一日君、お昼ご飯うちで食べてかないー?怪獣を捕獲したお礼に」
どうやら四月一日と同様にファイと黒鋼も昼食と夕食の材料を買いに来ていたようだった。
買い物かごにはぎっしりと食材や香辛料が入っている。
「え、と」
「わたー」
邪魔じゃないのだろうか、と四月一日は考えたが、「来い来い」と言うように怪獣がぎゅっと四月一日の袖を引っ張る。
ついでにうちの怪獣の遊び相手もして行け、と黒鋼に言われ断る理由が特に無くなってしまった。反射的に笑いながら了承の返事をする。



午前特有の柔らかな太陽の下、買い物袋を下げながらゆっくりと歩く。
親子の姿を一歩後ろから見ながら四月一日は平和を噛みしめた。
「わたー」
のんびりしてるとすぐに怪獣が相手をしろと大声をあげるのに微笑みを零して。

 

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