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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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四月馬鹿シリーズ小話です。

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞー。







「かえってー!かえってー!」
幼児のたどたどしい癇癪にファイはひょこりと隣の部屋を覗き込んだ。
最近喋ることの出来る言葉が一気に増えた息子だが、大人には理解不能な言語を使用することもまだまだ多い。かえってー、も「帰って」ではない。

「かえってー」
「こら」
ファイが覗き込んだその先で、黒鋼が背を丸めて息子の靴下に毛玉クリーナーをあてていた。お気に入りの靴下を取り返そうと手を伸ばそうとする息子を片手でいなしながらだ。
「毛玉だらけだろうが。ちょっと待て」
「…うー」
大人の片手にすっぽりと収まってもなお余裕のある小さな小さな靴下だ。そんなに時間がかかったわけではないのだが、息子はわずかに恨めし気に父親を見上げる。
泣こうか抗議しようか迷っている矢先に、綺麗に毛玉の取り除かれた靴下をほら、と目の前に差し出されて途端に表情がご機嫌になる。
「ぴかぴか!」
「ぴかぴか…?ああ、新品みたいってことか。毛玉がついてるよりもこっちの方がいいだろう?」
ご機嫌ついでにもう黒鋼の声など耳に入っていないのか、いそいそと靴下を自分で履こうして、ころりと後ろに転がってしまった。
起き上がってもう一度挑戦するものの、今日はどうやらうまくいかない日のようだ。奇跡的にうまくいく日もあるが、まだまだ一人では着替えられないのをおそらく本人が一番理解していない。
幼児特有の苛立った声を上げ、黒鋼に靴下を差し出す。履かせろ、ということらしい。
「我儘坊主め」
黒鋼は笑いながら息子の要求通りに小さな足にきちんと靴下を履かせてやる。
小さな体がすっぽりと黒鋼の足の間に収まり、くるくると変化する表情が一層嬉しそうなものへと変わった。


切り取っておきたいくらい幸せで可愛いなあ、なんてファイが思ったのは旦那様には内緒のことだ。



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