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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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遅くなりました。
200000ヒット記念フリリク企画です。もう第何弾かは忘れた!

クレイン様リクエスト「日本国永住(特殊)。黒様の一世一代のプロポーズ女体エロ」です。
今日上げた分にはエロスは含まれておりません。
続きはもう少しお待ちください。

拍手ありがとうございます。


では下からどうぞー。






ファイが巫女として諏倭の地に迎え入れられてからはや数か月。
かつて魔物の襲撃により焦土と化した土地を、新たに拓いていく作業は未だに終わりが見えてこない。
それでも僅かずつではあるが、新たな芽吹きや実りの齎される気配を感じ、民の間には喜色が表れてくる。
長閑と呼ぶにふさわしい日々にも慣れ始めた。それは喜ぶべきことのはずなのだが。安穏とした時間が増えるほど、ファイの頭の中では鬱屈とした感情が持ち上がる。
今はそんな煩悶に割く時間はないのだと、ゆるく頭を振ってはみても、いずれきちんと結論を出さなければいけないことではあるのだ。
祷場ではあまり相応しからぬ雑念を振り払い、ファイは自分へと与えられた部屋へと向かう。
きい、と踏み鳴らす鴬張りの廊下に口元が綻んだ。
欄干の向こう側、前庭には蕾をつけ始めたばかりの花が綻ぶのを心待ちにしている。
思わず手を伸ばした木の枝を柔らかく撫でると、ファイは降るような緑の香を胸いっぱいに吸い込んだ。
ゆったりと翻る袖と、それとは対照的に窮屈な帯にもどうにか抵抗が無くなった。それはファイがこの国で過ごした時間の長さの証明でもある。
だが、慣れたはずの着物に、たびたび違和感を覚えるのだ。それも仕方のないことだと思うと、やはり零れるのは溜息だった。

諏倭の巫女となることを打診されたのは知世――当代の月読たる姫巫女からだった。諏倭の領主の正当な後嗣である黒鋼からは何も打ち明けられていない。
その二つをファイは受け入れた。
前者はともかくも、後者は黒鋼本人の当惑が分かり過ぎるほどに分かったからだ。
ファイが長きに渡る旅の間に黒鋼と体の関係を持っていたことは、近しい者ならば知っている事実だ。それを今更否定する気も悔いる思いもファイには全くないのだけれど、黒鋼はそうではないとファイは思っている。
黒鋼と体を重ねていた間、ファイの体本来の性別とは異なる偽りの性別の形を纏っていた。
自分の目的を思えばその方が都合が良かったのは事実だが、まさか敵対した際にはその命を奪うことさえ視野に入れていた相手と体の交わり以上に深い絆を結ぶことになろうとは、思いもしていなかったのだ。
そこまで一人を思ったことも、偽りの姿で関係を続けたことも、悔いることではないのだけれど。
黒鋼にしてみればそれまで抱いていた相手がある日唐突に性別を変えたのだ。気持ち悪いと感じても仕方のないことだろう、とファイは思う。
せめて元の性と偽りの性が逆でなかったのがまだ救いだろうか。
せっかく男の体に馴染んだ着物の感触が、今の女の体ではどこかおさまりの悪いものに感じてしまう。
着崩すことも無くなったはずであるのに、奇妙な違和感だけがファイを捕えて離さない。

春めいた日差しの中、故郷ではけっして目にすることがなかった濃淡豊かな緑に触れてそっと吐息を零す。
諏倭の地へとやってくる前も、その後も。ファイが女の体になってから、黒鋼はファイに触れてこない。



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