[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
シリアスに見せかけてるけど、次回が若干ギャグ調になると思うんだ…。
本日新しいPCが来ました。
まだ使い勝手がよくわかっていなくて、ちょっと手間取っています。
スペースキーがちょい固い感じ。
今週から家族が検査入院、来週手術、というスケジュールなので合間を縫って頑張ります。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞー。
黒鋼は白鷺城の主より、住まいを一軒与えられている。
双子と住まうようになってから、もう少し大きな家へと移らないかと打診されたが、何よりも双子たちが最初に自分たちが住める家を気に入っていたので結局住まいはそのままだ。
いくらか木々の植わった庭とも呼べぬ小さな庭で、双子が芽吹き始めた花に水を遣っている。
双子とともに暮らし始めてからもう何年も経ったような気になるが、実際は一年も経っていない。気が付けば奇妙なことにも思えて、妙にむず痒いものだ。
のどかな日和である。
けれど。最近妙な違和感を感じる。
それが何に由来するのか、知らぬ黒鋼ではない。
彼の仕える主は日本国の姫巫女・国随一の魔力の持ち主であり、彼自身の母親も同じように巫女であった。
高い魔力の持ち主は、常人よりも老いが遅い。魔力を頻繁に使い体を酷使したがために若くして命を落とすことはあっても、負荷の少なければ人の何倍も生きることになる。
双子の体は、黒鋼と初めて会ったころから何も成長していない。
おそらくは人並み程度に年を取っていく自分と、時が止まった双子ではこの先ともにはいられないだろう。
十年、二十年。それくらいならばまだいい。けれど、そこから先はおそらく黒鋼の手の及ばぬ時間だ。
互いの生きる時間の流れが違うことを、双子にも言い聞かせた。
双子はきゅっと唇を引き結び、互いの顔を見合わせるとひたと黒鋼の顔を見据えて口を開いた。
「黒様と一緒がいい」
「黒様と同じ時間がいい」
それに仄かな嬉しさを感じる自分に驚きながら、黒鋼は「そうか」と頷いた。
魔力を持つ者の体のありようは黒鋼には理解の及ばぬところだ。自らの主に相談すべく、黒鋼は筆を手にした。
筆と紙を手にした黒鋼に気が付いた双子がとてて、と早足で駆けてくる。きらきらと太陽の光をあびて、淡い金の髪が輝いた。
「黒様、お姫様にお手紙書くの?」
「ユゥイも書いていい?黒様と同じにしてくださいってお願いするの」
「ファイもー」
小さな手でぎゅうぎゅうと黒鋼にしがみついて、懇願する双子の瞳に黒鋼も小さく笑った。