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では下からどうぞー。
「どうしたんだよ。むすっとして。外国でいっぱい遊んできたんじゃなかったのか?」
保護者の都合で2週間ばかりヨーロッパに行っていた双子は、日本に帰り着くなり黒鋼の家にやってきた。
けれど、いつものほわほわとした笑顔ではなく、無言でむぎゅーっと黒鋼にくっついている。
「だって、だって…。黒たんもいないし、おやつも少ないし…」
「畳の上で一緒にお昼寝とかできないんだよー。お店に行っても、ポッキーは1種類しかないしー」
黒鋼にはよく分からないが、双子は口々に言い募る。
「ずーっと英語やフランス語やイタリア語で、日本語成分が足りないのー!」
「黒たん、お話してー!何でもいいからー」
「え…。だって何もないぞ」
「「なんでもいいからー!!」」
「ん、と…じゃあ、とりあえず昼寝して、起きたらアイス買いに行こう」
苦し紛れの何でもない言葉に、双子の顔がぱっと華やかに明るくなる。
「お昼寝ー!」
「アイス―!」
黒鋼の気が変わらないうちにと、大急ぎで薄い子供用のタオルケットを引っ張り出してくる。一応ここは黒鋼の家なのだが。双子はもうお昼寝する気満々だった。
枕元にお出かけ用の帽子をちゃんと準備すれば、アイスを買いに行く準備だって完了だ。
これだけ二人のテンションが高くって、そして自分だってちっとも眠たくないのに果たして昼寝など出来るのだろうか、と黒鋼はちょっぴり考える。
考えるが、双子が嬉しそうにふわふわ笑っているので、まあいいか、と黙って大人しく横になった。
三人で並んで寝ころんだ畳の感触が気持ちいい。
降るように騒ぐ蝉の鳴き声が耳につくな、と思って目を閉じた。
5分としないうちに大人しくなった三人の様子を、黒鋼の母親がそっと覗きこむと三人はすやすやと眠っていた。
暑いはずなのに、双子はぎゅっと黒鋼の腕にしがみつくようにして。