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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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黒双子完結。

モト様、素敵なネタ&掲載許可をいただいたのにこんな出来栄えで申し訳ありません。
まや様…さんぴー難しいです…。

というわけでえろ注意。
残念ながら活きのいいエロ神様が降臨されなかったので、物足りないことに…。ごめんなさい。次回は頑張ります。


では下からどうぞ。

 





 

その日の黒鋼の訪れはいつもよりも随分と早い時間だった。
今までの侘びのつもりでもあるのか、日が沈むよりも早くやって来た。
出迎えたファイが機嫌よく外套と鞄を受け取り、ユゥイが茶を淹れる。
いつもと変わらない和やかな夜だと、黒鋼はそう思っていた。だが、何か違和感を感じてしまう。
黒鋼は先週まで中々顔を出せなかった自分の後ろめたさだろうかと思い込もうとした。
いつものように微笑む二人に口付け、甘く抱き合うだけだと思っていた。
「黒様」
ユゥイとファイに静かに切り出されるまでは。
「少し昔話をしようか」
そう言った双子の蒼の瞳には一切表情がない。ユゥイの義眼だけが偽物らしく照明を受けてきらきらと光った。
黒鋼の頭の中で警鐘が鳴る。

「あまり面白くも気分のいい話でもないから、最後まで聞くのが嫌だったら途中で遮ってもらってもいいよー」
そう黒鋼に断り、向き合うようにファイはソファに腰掛ける。ユゥイがその隣に慎ましやかに腰を落とした。
「オレたちは黒様と会うずっと前から遊郭とか娼館にいたんだ。色んなところを売り買いされたけど」
「異人の双子、しかも男を買うお客さんていうのはね、とても人に言えるような性癖の人間じゃなくて…。まともな趣味の人なんて一人もいなかった。オレたちは男娼として扱われたことすら稀だったよ」
玩具の人形の手足をもぎ取る、そんな遊びの延長で買われた。
「肌が白いから本当に血が流れているのか試されたこともあるし、髪も染めたのじゃないかって何度も頭を押さえつけられて水に沈められた。
痛いし、苦しかった。このまま殺されるんじゃないかと思ったし、いっそそうなれば楽なのにって考えた…」
昔を思い出してか、ファイがぞくりと肩を震わせた。
「でも、オレが…オレたちが一番怖かったのはそんなことじゃなかったんだ」
ユゥイの瞳は虚ろだ。
「一番ひどかったのは…」
何度も何度も二人の唇は躊躇い、ようやく出せた声は喘ぐように掠れていた。

「オレにユゥイを抱かせたこと」
「オレにファイを抱かせたこと」

咄嗟には黒鋼は声が出なかった。
それをどう取ったのか、あるいはそれすらもうどうでもいいことなのか。自嘲を唇に乗せたファイは瞳を落とす。ユゥイがそっとその手を握った。
瓜二つの双子が寄り添うようにして椅子に座っている。
「嫌だったよ、オレは。だって自分の一番大事な人間を汚した相手と同じように、自分が一番大切な人を汚してしまう気がしたから」
「でもね、思ったんだ。オレはファイを汚してしまうのは嫌だと思っているけど、自分が抱かれる立場なんだったら獣みたいな男たちよりはファイに抱かれる方がよっぽどマシだって」
「…オレも、そう思ったよ。他の男よりはユゥイの方がマシだって…」
苦痛に塗れた決断は束の間、僅かばかりの安らぎと後悔を産み、客たちは二人の姿を座興に楽しんだ。
血と魂を分けた相手だからこそ、そこに救いを見出し、それよりも一層深い業が二人を苦しめる。
罪と知りながら、それ以外に縋る術は無かった。
「…だから、黒様に初めて会った時は嬉しかった…」
「オレたちのことを初めて『人間』みたいに抱いてくれたから…」
始まりは客と男娼だった。けれど、二人にとって黒鋼は唯一自分達を「抱いた」人間だったのだ。
何もかも言い終えた双子は瞳を閉ざし、大きく息を吐いた。
「オレたちの話はこれでおしまい」
「もし…一瞬でも汚らわしいと思ったんなら、どうか捨てて」
そしたら、また元通りに二人だけで生きていくから。

そう言われて初めて感じていた違和感に気がつく。
家の中はいつだって二人の手により綺麗に片付けられていた。いつ黒鋼が訪れてもいいように、心地よく過ごせるように。
だが、今日この家に足を踏み入れた瞬間に感じた違和感の正体は。
生活感が感じられないほどに、整然すぎるほどに片付けられていたのだった。まるで、誰も暮らしていないかのように。
黒鋼はまじまじと二人の姿を見止める。
いつものように小ざっぱりとした姿だった。
今すぐに、どこかに出て行ってしまってもおかしくはないくらい。
「…出て行く気か」
いつだって双子は黒鋼に縋ろうとはしなかった。
まるでいつ離れることになっていいように、何も求めず、与えられるままを享受しながら二人で寄り添っていた。
黒鋼がいつか離れてしまうことを、二人がずっと覚悟していたのだと知る。
「今、聞いたでしょう?」
「オレたちがどれだけ汚れているか」
ファイが、ユゥイが微笑った。今にも砕け散りそうな硝子のような笑みは触れることさえ躊躇わせる。
「君に会えて嬉しかったのも、幸せだったのも嘘じゃないよ」
「オレたちのことなんてどうでもいいから、だから、…君は幸せになって」
大好きだから、どうか幸せになって。
その一言が偽りではなく、本心であることを黒鋼は知った。二人の覚悟の深さを。とうに自分たちが消える日が訪れることを決意していたことを。
二人の覚悟にかけられる言葉が思いつかない。

けれど、ここで手を伸ばさなければ、永遠に失うことを知っていた。


「俺は…お前たちが二人で生まれてきてくれたことに感謝する」
思いもよらぬ黒鋼の言葉に二人ともが目を見開いた。
「二人で寄り添いあってきたからこそ、俺と会うまで生きながらえてきたんだ。
お前たちは、どちらか一方が欠けても生きてはいけない。そうだろう?」
双子の瞳は大きく見開かれたまま黒鋼を見つめている。
「黒、鋼」
「いいの…?傍にいても」
戦慄く唇が恐々と言葉を紡ぐ。
信じられないと、けれど信じたいと、願い揺れる蒼の瞳を黒鋼は真っ直ぐに見つめた。
「…離れるな。絶対に許さねえ」
言葉を無くし、ただ黒鋼を見入るしかない双子の元へと歩み寄り、黒鋼は二人を抱き寄せる。
凍りついたように動かない双子の瞳から一滴、涙が零れ落ち、その腕が恐る恐る黒鋼の背に回された。
震える指がぎゅっと服を掴む。
押し殺したように囁く声は震えて、相手の耳に届いたかどうかすら定かではない。けれど、言わずにはいられなかった。
「離さ、ないで…」
「…ずっと、そばにいたい」
初めて、心の底から求めた願いだった。
それに応える黒鋼の腕は一層きつく、二人を抱きしめた。
それだけが何よりも確かな答えだった。


広い寝台の上で、技巧も手管もなく、ただ求めるがまま遮二無二に抱き合う。
帯を抜くのももどかしく、肌蹴られた着物を纏わりつかせながらファイは目の前のユゥイの肩にしがみついた。
「はっ、あ…ぁ」
背後から黒鋼に貫かれた体勢のまま揺さ振られ、荒く零れる呼吸がユゥイの耳をくすぐっていく。
「苦しい?」
今にも崩れ落ちそうなファイの体を支えながら、宥めるようにユゥイは汗ばんだ額に唇を落とす。
うっすらと涙の膜が張られたファイの蒼い双眸が細められ、ユゥイを見つめて頭を振る。
「ううん…、しあわせだよ」
瞳を見交わした双子は互いにそっと微笑む。
「お前らだけで分かり合ってんじゃねえよ」
途端にひと際強く腰を揺すり上げられ、ファイが慌ててユゥイの肩口に顔を埋めて衝撃をやり過ごす。
着物の上からでも痛いほどにたてられる爪に、限界が近いのだと知りユゥイは片割れの髪をそっと撫でて黒鋼に婀娜っぽく笑んでみせた。
「妬いた?」
「言ってろ」
明らかに挑発してくるユゥイににやりと獰猛な笑みを返すと、黒鋼は強引にユゥイの唇に噛み付くような口付けを仕掛ける。
思いもよらぬ動きにファイが小さく悲鳴をあげて、びくりと背中を震わせた。
唇を重ねたままでユゥイが細い指をいたずらにファイの背中に滑らせる。
「ゃ、あ…」
くすぐったさに身を捩らせたファイは自分から黒鋼を刺激することになり、その感覚は直接自らへとはね返ってくる。
吐息の熱さを肌に感じるユゥイも、快楽への期待に自然と体が熱くなり始めた。
淫らな欲望を見透かすように黒鋼の瞳がぎらりと凶暴な光を放つ。
腰を掴む手に一層力が加わり、内側を容赦なく穿たれる熱さにファイは声を抑えることは出来ず、ひたすらに嬌声を零し続けた。
押し殺すことさえ出来なくなった半身の快楽の声に酔うように、ユゥイは片割れの髪や背中をやさしく撫で、頬や首筋へと唇を落とす。
「気持ちいい?」
そう囁く自分の声すらもうわごとのようだと思いながら、もう言葉にすることも出来ずにただ頷くだけのファイの中心へとユゥイは手を伸ばす。
「ああぁっ…!!」
いっそ残酷なほどの優しい手つきで、柔らかく握りこみ擦りあげる。
その衝撃に悲鳴のような声をあげながらがくがくと体を震わせるファイは、内側の黒鋼を締め付けた。
思わず息をつめた黒鋼が、忍耐の糸を切らしたようにファイを激しく揺さ振る。前と後ろの両方を直接刺激される感覚にファイは耐え切れずに、甘い鳴き声をあげてユゥイの手の中に蜜を零した。
快楽に果てた余韻に蠕動する壁へ誘われるように、ファイを幾度か揺すり上げると黒鋼はその中へと熱を迸らせた。

ずるりと力の抜けたファイの体を横たえ、ユゥイは汗で額に張り付いた髪を整えてやる。
完全に意識をなくしたわけではないようだが、体に残る悦楽の残り火は消えていないのだろう。融けるように茫洋とした蒼い瞳から零れた涙の跡が未だ赤みを帯びている頬に幾筋も残っている。
凝ったファイの髪を梳き、けだるげな余韻に浸っていたユゥイの腰を黒鋼が強引に引っ張り、寝台の上へと押し倒した。
ぎしりと寝台のバネが軋みをあげ、黒鋼に上から覆いかぶさられたユゥイの体が深く敷布の海へと沈む。
見上げる視界に映るのは全て黒鋼で、今更にじわじわと背筋を這い上がる幸福感と快楽への期待にユゥイは震えた。
ファイが抱かれているのを目の前に見ていたために、とうに体の熱は上がってしまっている。早く、何もかも暴くほどに抱いて欲しいと、ユゥイはその両手を黒鋼へと伸ばす。
「ね、早く…」
衣服を肌蹴られる間でさえも待ちきれなくて、ユゥイは何度も何度も手を伸ばすのに、一度欲望を吐きだした黒鋼は余裕の顔で殊更に時間をかけてユゥイの着物を剥いでいく。
ただ脱がされる、というだけの行為にすっかりと煽られ、その裸身を全て黒鋼の眼前に曝け出すころにはユゥイの呼吸は熱っぽいものへと変わっていた。
これ以上待たされるのは耐えられなくて、恥じらいよりも欲望が勝る。
「もう、お願いだから…早くして」
自ら足を開いて男を誘う真似に、さすがにユゥイ自身顔を赤らめてしまうが、この淫らな強請り方は充分に効果があった。
「ったく…」
苦笑するように零した黒鋼の動きは少し性急になっていた。香油を纏わせた指でユゥイを慣らすと、すぐに自らの屹立を押し当てた。
押し込まれる最初の痛みを和らげようと、努めて力を抜くがユゥイの鼓動はどんどん早くなっていく。
身をこじ開けられるような僅かな苦しさと、黒鋼によって覚えこまされた快感への期待に腰の奥から熱が這い出してくる。
「あ、っ…くぅ…」
思わず呻くように漏らした声を、飲み込むように口付けられる。吐息さえも奪うような口付けと、繋がり揺さ振られる下肢から湧き上がる衝動に逃げ場のないユゥイの体は色づいていく。
首筋に舌を這わされ、肩を甘く咬まれ、解放された唇から声を抑える術などない。
黒鋼に腰を突き上げられるままに体をしならせ、望まれるままに鳴く。
早くもっと追い上げて欲しいと願う気持ちと、熱を解放されない苦しさに逃げ出したくなる体。相反する欲望が体を満たしていくのを感じてユゥイは目が眩む。
苦しいと感じているはずなのに、更なる欲望を求めて白い足は黒鋼の腰に絡み付いていた。
がくがくと揺すられる体が逃げないように、敷布を握り締め少しでも多くの快楽を享受しようとユゥイは進んで体を開く。

敷布を掴んでいた指がそっと解かれ、指先を握り締める熱があった。
ユゥイが顔を向けると、ファイがそっとユゥイの指と自分の指とを絡めている。
二対の瞳が見交わされ、互いの瞳の中に存在する幸福に、蕩けるような笑顔を浮かべた。
幸せそうに笑いあう双子を見つめ、黒鋼は陶然とする。
ずっと手放さない。
改めて言葉にすることはこれからないかもしれないけれど、それだけはけして揺るがぬ決意だった。

ぐいっと絡めていた足を持ち上げられ、ユゥイの体が折りたたまれるようにして押さえつけられる。
途端に激しくなる律動に、限界が近づく。
「ひぁ…っ!あ、や…あっ!ああっ!」
絶頂が近づき、ぎゅっと瞼を閉ざしたユゥイの瞼の裏でちかちかと光が明滅する。
「あ、ああっ…!!」
黒鋼の熱が内側で弾けるのを感じて、ユゥイは自らの腹の上に白濁を零した。どくどくと体中に心臓の音が大きく響いているような気さえする。
ぐったりと弛緩したユゥイの横にファイがにじり寄ってころりと横になった。

「黒様…」
「なんだ」
少しだけ息の荒い黒鋼だったが、高揚した気分はまだおさまっていないようで瞳にはわずかに獣のような光が残る。
だが、双子にこれ以上の無理を強いるつもりでもなさそうだった。
再び熱が上がってしまわないように僅かに距離をおきながら、意識はこちらに向けたままの黒鋼に双子は今までの情事とはかけ離れた無邪気な微笑みを向ける。
「ずっと一緒にいられるんだよね」
「黒様…大好きだよ」
ふん、と鼻を鳴らして黒鋼はそっぽを向いてしまう。双子のその言葉に答える気は無いが、それが照れ隠しでしかないことは明白だった。
身を寄せ合った双子は互いに指を絡める。くすくすと笑いあう双子の瞳に、暗い影の気配はない。
不安の色を取り除いた双子を見つめ、黒鋼はグラスに手酌で琥珀色の酒を注いだ。とろりとした琥珀色が二人の髪を映して光る。


 

抱き合ったまま、双子は人知れずひっそりと呟いた。
それは奇しくも二人同じ――否、二人の唯一にして絶対の願いだった。


互いに寄り添わなければ生きていけない半身以外で、初めて愛した人だった。
愛して、愛されたから。それだけで。
その記憶だけできっと生きていくことが出来る。
けれど。


『あなたのいない世界はいらない』


 

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