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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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耳つきのお話。

拍手ありがとうございます。


では下からどうぞー。






「幸せ~」
「…俺は幸せじゃない」
対照的な二人の姿にユゥイは苦笑する。
ファイと黒鋼は暖炉の前に座っているのだが、ファイが黒鋼を抱きかかえているため黒鋼は随分窮屈な思いをしているらしい。
「黒たんの毛並みはすべすべだねー。気持ち良いー。もう大好きー」
「ぎゃあっ!耳齧んなっ!」
じたばたと暴れる黒鋼もこの一年で随分背が伸びたのだが、それでも頭一つ分以上はファイの方が背が高い。
攻防、とも呼べない黒鋼の抵抗をあっさりと抑えてファイはひたすらにぐりぐりと黒鋼の毛並みを堪能している。
「こらこら。ファイ、それじゃあ黒鋼が可哀想でしょう」
やんわりとユゥイがたしなめるのにも、ファイはにこにこと笑って「だって可愛いんだもん」と言いきる。
「でもそのままだったら二人ともお茶も飲めないよ?」
「むぅ…」
ユゥイの運んできたハーブティーと焼き菓子を目にし、ファイは不承不承黒鋼を解放した。
「助かった…」
「黒鋼もごめんねえ。でもファイも君のことが好きだから」
「…絶対構いすぎて動物に逃げられるだろ、あいつ」
「…ああ。うん、そうだね。黒鋼が頑丈で強い子でよかったよ」
思い当たることの多すぎる指摘に、ユゥイは言葉を濁す。
蜂蜜をたっぷりとたらしたお茶と、薄い生地の焼き菓子に黒鋼も安堵したように顔が綻んだ。
いただきますと行儀良く手を合わせるのに、ユゥイもならって手を合わせる。
寒い空気は肌をさすが、暖炉の炎と体の内側に入り込んだ茶の温もりがじわじわと体を温めてくれる。
「あのな…」
ややあって、黒鋼がおずおずと口を開いた。いつもははっきりとした物言いなので随分珍しい。
「ん?」
「触りたかったら触ってもいいぞ。尻尾とか、耳とか」
お茶のお礼、とぼそぼそ呟く黒鋼にユゥイは小さく驚いた。
ファイが遠慮なくいじりまわしているから、さすがに可哀想にと思って控えているが、ユゥイも黒鋼の毛並みが大好きなのだ。
「本当?…じゃあ、尻尾撫でさせてもらおう」
艶々とした黒い毛は手触りも滑らかでユゥイもなんだかうきうきした気分になってくる。
「ずるーい。黒ぽん、ユゥイだけ贔屓してー」
「お前はすぐに耳とか噛むからやだ!」
「けちーけちー」
そんな二人の言い合いにユゥイもつられて声をあげて笑ってしまった。



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