[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
休日ですが、明日からまた早出です。なんでや。
忙しさのピークはとうに過ぎているのですが、今月の勤務日程が未だに出来ていなくて急遽順番で休みを回しているだけなので、あり得ない出勤になってます。
あの上司は人の有給とか公休をどう消化する気なのか…。
私よりも可哀想な同僚は必要のない早出を2度ほどさせられます。心底お疲れ様…。
新年から憂鬱な仕事場。
イライラはよくありません。某所で破廉恥神を拝んで落ち着いてきます。
今年こそは、いろんな方に好きです、とお伝えしたいなあと思っています。
このようなところでなんなのですが、旧年中このブログを訪れてくださった訪問者の皆様、お声をかけてくださった方々に御礼申し上げます。
拙い作品ばかりですが、このような僻地であっても暖かいお言葉をいただき、予想もしていなかったような出会いもあり大変感謝しております。
そうやっていただいたものを少しでもお返ししていけたら、というのが本年の目標です。
今年もまた当ブログをよろしくお願いいたします。
と真面目に言ってますが新年早々相棒に新刊表紙を作らせるなどの暴挙がありました。
ごめん、ありがとう、愛してる。
拍手ありがとうございます。
とても嬉しいです。
では下からどうぞ。
ボス猫のパトロールの道中にその家はある。
和と洋の構造を見事に融合させたその家は細部まで繊細な造りで、十人中八人は思わずどのような住人が住んでいるのだろうと興味を惹かれてしまうに違いない。
その家の一階の窓辺には白い毛並みの仔猫が二匹。瓜二つの姿を並べてボス猫の通りかかるのを待っている。
昨日家の主とともに引っ越してきた仔猫たち、ファイとユゥイは自分たちを助けてくれた黒い毛並みのボス猫にすっかり懐いてしまった。
その姿が遠い塀の上に見え始めた瞬間にふわふわの尻尾と耳をピン、と張り先を争いながら専用の出入り口をくぐって表に飛び出す。
「黒たんだー」
「黒たん待ってー」
ボス猫はちらりと二匹の姿を見るが、すぐに興味がそがれたのかつーんとそっぽを向いて先へと進んでいく。
もちろん二匹はその後を一生懸命追う。
「待ってー」
「黒たんー」
誰が黒たんだ、と黒猫は心の中で突っ込む。
二匹に名前を教えたわけではない。ボス猫の毛並みがたまたま漆黒だったから、それで仔猫たちは黒たんと呼んでいるのだ。
まったくふざけた呼び名だと憤慨するものの、相手は木登りさえも禄に出来ないような仔猫である。本気になって怒るのも馬鹿らしい。
黒猫――黒鋼というれっきとした名前があるのだが――は二匹を無視することに決めて悠然と塀の上を歩いた。
彼にとってはさしたる速度でもなかったのだが、体の小さい仔猫たちにはそうではなかった。
息を切らしながらよてよてと走っていた二匹のうち、片方がべちゃん、と地面とこんにちはする。
額を思いっきりぶつけたらしく、瞳に涙が溜まりかけた。慌てて片割れがその場にしゃがみ込む。
泣くかと思われた仔猫だが、ぐっと痛みを堪えて起き上がりまた走り始めた。
とたとたと小さな歩幅で走る仔猫。すると、今度は大丈夫だろうかとちらちら様子を見ていたもう一方が石に躓いた。
びたん!とやはり痛そうな音がする。
仔猫はぐすん、と鼻を鳴らしてそれでも頑張って起き上がった。
なんとも奇異な光景である。
人間でたとえるなら、フリルとレースで飾り立てた裾の長いワンピースを着た5、6歳くらいの幼児が、二十歳程度のガラの悪い男の後を一生懸命走ってついていっているようなものだ。
白く長い毛並みが土で汚れてしまっている。
二匹とも半泣き状態だが、黒猫を追って走るのを止めようとはしない。
「…」
見ないふり、そう自分に言い聞かせて先を進む黒猫の後ろでまたもやこける音がする。
ごつん、と今度の音は鈍い。
「う…」
「ふえ…」
小さな泣き声に今度こそ本気で泣くのだろうと思ったが、仔猫たちはきゅっと唇を引き結びぽてぽてと走り始める。
その速度はもう走っているのではなく、歩くのよりも速い程度に一生懸命足を前に出しているだけだった。
「ひっく」
「ぐすん」
徐々に息が上がっていくのか、嗚咽のような声が漏れている。
「…」
黒猫は諦めた。
「お前ら本当に猫か?なんでんなにとろいんだ」
「痛いようー」
「痛いのー」
くすんと鼻をすすりながら黒猫に引っ付く二匹を舐めて毛繕いしてやりながら、ボス猫は明日からのパトロールの道順変更を余儀なくされていた。