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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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引き続き七夕ネタ3種です。
七夕ネタは旧暦までひっぱります(笑)


明日からお仕事…。コルセットが辛いです…。










七夕話その一。
堀鐔設定。ストーカー化学教師編。

 

 

『黒鋼先生と懇ろになりたい』

 


「この短冊を書いた馬鹿は今すぐ出て来い」
「わー、早速お願いが叶っちゃったー?」


その後、体育教官室で正座で説教される化学教師の姿があった。

 









 

七夕話その二。
堀鐔設定。

 

 

お祭り大好きな理事長の性格を反映してか、学園の年中行事は恐ろしく多い。
無論それに伴い監督をする立場の教師の負担も増えてくるわけだが。学期末の試験に響いたらどうする、と内心毒づきながらも、生徒たちの楽しそうな顔を見ると息抜き程度なら…と思わないでもない。

「黒ぴー先生ー、笹どこに置くのー?」
けして背が低いわけではない化学教師ですら持て余す特大サイズの笹を受け取り、中庭に面した廊下の柱にしっかりと括りつける。少々のことでは倒れてこないように固定された笹が風に揺らされて、さやさやと葉が歌う。
「お仕事かんりょーう」
ぱちぱちーと手だけでなく実際に声で拍手を表す化学教師の反応はあっさりと無視された。

「六月から出す意味あるのか、これ。新暦でも早すぎるだろう」
「侑子せんせーが『皆がじっくりお願い事考えられるように』だってー。早すぎるー?」
「うちの実家の七夕は旧暦でやってたからな」
「旧暦?じゃあ七月にはしないのー?」
「詳しく計算したらまた違うんだろうが…旧暦と新暦じゃ大体ひと月違うからな。七夕飾りなんかを用意すんのは月遅れの八月だった」
行事でも地域によって違うのだと言う黒鋼の説明に、へえ、とファイは感心したような声をこぼす。当たり前のように受け入れていた事柄の違う側面を知るのは純粋に知識欲として楽しい。


「黒様ー、旧暦ももう一回笹飾って短冊書こうよ」
「ああ?」
なんでそんな面倒なことを、と目で語る黒鋼にファイははにかむように笑った。
「え、と…あのね」
子ども騙しかもしれないけどねー、と前置きしたのはかなり照れているせいだろう。


「織姫を彦星が二回逢えるような気がするから」
一年に一回しか逢えないのは寂しいよね、と言ったファイがそっとジャージの裾を握るのを黒鋼は止めなかった。









 


七夕話その三。
日本国永住設定。

 

 

「ほしあい?」
「星の逢引だからな。別名で『星合』とも言う」
笹に飾られた短冊を不思議そうに撫でて、ファイはもう一度「星合」と口の中で転がした。
「綺麗だね」
桜の季節を終え、日本国で始めて迎える夏は目を圧倒する彩りでもってファイを包んだ。
一日中降りしきる雨と緑の匂いが過ぎ去り、晴れ間が覗くようになった空で今夜は星が一年に一度の逢瀬を果たすという。
見たことのない飾りが城や城下のあちこちで見受けられるようになり、説明をねだったファイに黒鋼が聞かせたのは天の川の対岸に引き裂かれた二つの星の噺だった。
己の責務を疎かにした罰とはいえ、愛しい相手と離れ離れにならなければいけない悲話は、なるほど万国共通で人の心に訴えかけるものらしい。

「笹とてるてるぼうずはいっしょにかざるの?」
町家で見かけた組み合わせがファイには至極不思議に見えたらしい。
「雨が降ったら天の川の水が溢れて川は渡れない。だから今夜は晴れるように、と照る照る坊主を一緒に吊るしてある家も多いな」
「天の川わたれないと会えない?」
「ああ、だから今日雨が降ると催涙雨なんて呼ばれる。涙を零させる雨、だな」
「じゃあ雨がふったら会えない?」
不安そうに黒鋼を窺うファイに、思わず噴出しかける。日常の会話に不便しないものの、まだ語彙が多いとは言えないファイは黒鋼に文句を言う代わりにわざと拗ねた顔をした。
ちょっと不機嫌そうな顔をすれば、面倒くさそうにしながらも黒鋼はこちらを放っておかない。
甘えることを少しずつ、ファイ自身が自分に許し始めている。それを見ているのは忍者にとっても吝かではない。

「天の川が渡れなくなったら…か」
「…」
「あんまり二人が悲しむから、二人を引き離した天の帝もさすがに哀れに思ったんだろうな。雨が降って渡れない天の川にはかささぎが飛んできて、二人が会えるように橋になってやるんだと」
「そっかぁ」
世を越えて、時を越えて、人の心を惹きつける話ならば、結末は幸せな方が良いに決まっている。
星たちが離れ離れになったままでないことに安堵しながら、ファイは黒鋼の肩に頭を持たせかけた。
きっとこの人なら、年に一度の逢瀬と言われても一度掴んだ自分の手を離すことはないのだろうな、と思いながら。


 

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