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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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お待たせしすぎている長編シリーズ、続きです。
前回の最後で「濡れ場か!?」と期待した方、すみません。濡れ場はまだ先です(爽笑)

何はともあれオンリー前に一つでも話を進めることが出来てよかったです。
今日は細かいあれやこれやの準備をして、後は仕事から帰ってちょっとずつ出発準備をしようかと思います。
前日は仕事終わったらご飯と風呂をそっちのけで船に乗らなければいけませんので…。
これでも船便の時刻が改定されたので助かっているのですが、昔は大阪行きは二便あって、時間の早い方と遅い方で選べたのになあとがっかりです。

高速道路もなあ…。レジャー利用が優遇されて、仕事で使うのには優遇措置がされないってのも変な話です。
おかげで職場で五連休中の配送受付の確認がえらいことになっとる…。
21日に確実に荷物を届けようと思ったら18日には出しとかないと届かない、とか言われました。無理だろう。
該当部署が大混乱中です(笑)


拍手ありがとうございます。


では下からどうぞ~。








ぎしりと、鳴いたベッドにファイは僅かに緊張していた。
一度だけぎゅっと瞼を閉ざし、これは何でもないことなのだと自分に言い聞かせる。
今までだって何人も男の相手をしてきた。行きずりの相手とだって寝たこともある。
だから、こうして。
面影だけを望んで、身勝手な欲求をぶつけている自分が、怖がっているのは間違いなのだ。
相手の体温が近づいたのを感じ、ぐっと唇を引き結ぶ。そうでもしないと叫びだしてしまいそうだった。
酩酊感に瞳の奥がぐらぐらと揺れる。ごくりと息を飲み、一呼吸置いて細く息を吐く。そうして相手に緊張を気づかせないように、そろそろと強張る体から力を抜こうと試みた。
そのおかげで相手の掌がファイの肩にかけられた時、無様にびくついたりしなかったことに安堵した。
ほっとした矢先、相手からは思いもかけない言葉が振ってくる。

「もうちょい奥に詰めろ」
え、と声に出す間もなく、男二人が上がるには狭いベッドの上を壁際に押しやられる。
相手はもぞりと体をファイの後ろに滑り込ませると、そのまま横になった。狭いので、当然ファイと男の体はくっついている。
「な…に…」
「寝るんだろうが」
驚いて身を起こそうとしたファイを、背後から抱きしめてきた男の手が留める。けしてきつくはないが、がっちりと回された手にファイは動けない。
おそるおそる後ろを窺おうとしたが、男の姿を視界におさめることは出来なかった。体がこれ以上ないくらいに密着しているのに、男がファイを抱く気配は感じられない。
どうして、と軽い混乱をきたしたファイに、男は何も答えない。
どんな心づもりなのか量りかねて、ファイは途方にくれた。
意味合いは大きく違うが、確かに『寝て』いるのだから文句も言えない。

ぴたりと寄り添うようにくっついた二人の体。けれど奇妙なまでに二人とも無言だった。
どうしたものかと迷っていたファイの耳に男の心臓が脈打つ音が響く。
とくん、とくん、と規則正しく鳴らされるそれに、指先から強張りがとれ、少しずつ全身が弛緩してくる。僅かずつ、睡魔に侵食される脳にその音だけが優しく残り、思わずほうっと息を吐いた。
吐息に緊張の色がないのに気づいたのか、男の手がそっとファイの腹の前で組まれる。
性欲の匂いの一切ない、ただ抱きしめられる、という行為にファイはひどく安堵した。
全身から力を抜いて、その腕に甘える。

「オレ、ね…」
ぽろりと声が押し出すように出てきたのが、自分でも心底意外だった。
「…こんなふうに何にもなく、並んで寝るの初めて」
アルコールのせいか、眠気のせいか。随分と舌足らずな声に、男が「嫌か?」と聞いてくる。
それにゆるく首を横に振って答えながら、ファイは後悔していることを一つ、打ち明けた。
なんだかこの人なら言ってもいい、そんな気がしたのだ。
「オレ、分かれた彼氏にも言ったんだ。『お金も体も好きにしていいから、オレの恋人でいて』って…。今までの男の人は大体そうだったし」
今にして思えば最低な話だ。けれど、それでも構わないと思っていたのはファイ本人で、結局のところ相手の欲望にファイもまた寄りかかり、依存するようにして生きていたのだからお互い様なのかもしれなかった。
「でもね、その人は違ったんだ…」
背後の男は無言だった。聞いているのかいないのかも分からない相手に、ファイは話し続ける。

「その人がね、『別れたい』って言ったのは…。オレのことが好きだから、だからオレが言うみたいな付き合いは出来ない、って。
オレのことが本当に好きだから、そんなこと出来ないって…」
誠実そうな人だった。ファイが良いと言っているのに付け込めば良かったのに。その人は困ったように笑いながら、首を振った。そしてファイに別れを告げた。
自分のことを本当に大切に思ってくれていた人を傷つけたことに、ファイはその時気がついた。
ごめんなさい、と謝ることも忘れて、ただ呆然とした。
「悪いことしちゃったな…」
ポツンと部屋に響いたその声が思いのほか寂しげで、ファイは自分でも驚く。
慰めるように男の掌が前髪を撫でてくれるのに、涙腺が刺激されて一粒涙が転がり落ちると、途端にぽろぽろと後から後から溢れて止まらない。
ぐずぐずと泣くファイの後悔が睡魔と混濁し、正常な思考を侵食していく。
「だったら」と男の声が耳のすぐ傍で響いた。

「こんな馬鹿みたいなこと…もう、すんじゃねえ」
なんで彼は。そんなにも苦しそうな声を絞り出しているのだろう。

疑問に思う意識の端がとろりと溶けて、そのまま崩れていった。


泣きながらついた眠りは、何故だかひどくファイを安心させた。


 

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