理事長の御供

堀鐔小話です。

この後化学教師に自分も連れてけと迫られる体育教師。


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では下からどうぞ。

何で俺が、とブツブツ呟く体育教師を綺麗に無視して、堀鐔学園理事長は艶やかに和装を着こなしている。
年齢不詳が服を着ているような女性である。老いた女にはない華やかさと若いばかりでは持ち得ない艶が備わっていた。

おまけにやたらと迫力のある女性だ。立場上の都合と本人の趣味で社交の場に出向くことも多いが、そんな時彼女がパートナーに選ぶのは大抵化学教師か体育教師だった。
理由は簡単だ。二人とも場慣れしていて、その場の空気に圧倒されるような無様な真似はない。
そしてもう一つ。何よりも理事長本人に存在を食われるような柔なタマではないこと。

男性が女性をリードするのが当然の場で、パートナーに存在を圧倒されるほど男として情けないこともない。
そんなわけで本日引っ張って来られたのは体育教師の方だった。

「オペラならともかく…お能にファイ先生は連れてこられないわ」
「…」
寝てしまいかねない。
不承不承ながらも、能の合間の懐石料理と酒に妥協してしまう黒鋼だった。