[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ホリックのあれはフラグなのだろうか。
出勤前に立ち読みしたのは良かったのか悪かったのか。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ。
怖い夢を見て泣きながら目が覚めた。
双子は顔を見合わせてぽろぽろと際限なく零れる涙をごしごしと拭おうとした。
けれど、涙はいつまでも止まってくれなくて、二人の唇から小さく嗚咽が漏れる。
お昼寝の時間で他の皆は寝ていて、起きているのが自分たち二人だけだと思うと、怖いのと寂しいのでもう訳が分からなくなってしまった。
なんだか夢の続きのようだ。
とても怖い。
暗くて寒い世界で、とても高い塔の上と下。別れて置き去りにされた自分たちをまるで現実の世界のように今もありありと思い出す。
たしかに目覚めたはずなのに、今でもその世界に捕らわれているようで、怖くて寂しくてたまらない。
ファイもユゥイも、泣き声をあげそうになった。
「どした?」
小さくだけれど、はっきりとファイとユゥイに呼びかける声がある。
隣で寝ていた黒鋼がもぞもぞと眠い目を擦りながら起き上がった。
まだ寝ぼけ眼だが泣いている双子をみて吃驚したのか、眠そうにしながらも双子の傍まで近づいてごしごしと自分のパジャマの袖で涙を拭いた。
「こわい夢みたの…」
「怪獣とかお化け?」
「ユゥイもファイも捨てられたの」
くすん、と泣きながら夢の内容を黒鋼に話す。
とても怖かった、怖くて怖くて。とても悲しかった。
そんな気持ちばかりが溢れて、気がつくとまた泣いていた。
双子の話を聞いた黒鋼は少し考え込む。それから眠たそうな声で、何でもないことのように言った。
「じゃあ俺がおっきなはしご持っていくから。カイロと糸鋸も。そしたらちゃんと出られる」
あまりにも当たり前のように言われたので、驚いてファイとユゥイの眼から涙が引っ込んだ。
「黒たん、来てくれるの?」
「ん」
「ファイもユゥイも助けてくれるの?」
「ん」
だから大丈夫。そういって黒鋼は頷いた。
しばらくきょとんとしていた双子はぱっと笑う。
「そっかぁ」
「黒たんいたら大丈夫ねー」
安心したら途端に眠たくなった。双子は他の皆を起こさないように静かに布団の中に戻る。
それを見てから黒鋼も自分の布団に潜り込んだ。
「おやすみ」
目を閉じると真っ暗になったけれど、大丈夫。
今度は夢を見てもきっと怖くない