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あと、あと、チャットネタから派生した小話「膝枕」に合わせて風海さんがイラストを描いて下さいました!やばい、浴衣エロイ…!
鎖骨~、胸元~、髪~!!
ちょっと拝んできます、踊ってきます。
皆さんも是非に。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ~。
「父上と母上は『せーりゃくけっこん』なの?」
息子がやたらと難しい顔をしているかと思えば、何を聞いてくるか。
思わず二の句が告げない黒鋼に、息子がそっくりの顔を歪ませた。
「せーりゃくけっこんなの?」
返事がないのを不安に思ったのか、重ねて問うその顔は真剣だった。
「どうした?随分小難しい言葉を覚えたな」
抱き上げれば、小さな体は片腕にすぽんと収まってしまう。
小さな息子はきゅうっと眉を寄せて父親を見上げた。
「だって領主とか偉い人は自分が好きな人と結婚するんじゃなくて、やっぱり偉い家の人と結婚させられるって。
だから好きな相手と結婚出来なかったり、嫌な相手でも結婚しなきゃいけないって本当?
父上と母上も?」
守役か侍女あたりが話していたのを聞きかじったものか。小さな顔が不安そうに揺れていた。
確かに一般的には近隣の領土同士で同盟や契約の一環として互いの家の人間を一緒にさせることが多い。
だが、息子が何を心配しているのかは分からないが、黒鋼もファイもそれを強制するつもりはなかった。
何せファイは領土どころか異なる次元で生まれた者である。大方の人間には想像も出来ないような縁なのだ。
そう言おうとした黒鋼よりも一拍早く、息子が口を開いた。
「俺、父上も母上も大好きだから…。二人とも大好きで結婚したんだったら嬉しい。
二人が無理矢理『せーりゃくけっこん』したんだったら…嫌だな」
悲しそうに肩を落とす息子に黒鋼は目を見開いた。
こんな小さいなりをして、考えていたのは自分のことではなくて、自分の好きな人間のことだったのだ。
思わず黒鋼の口元も優しく綻んだ。
「俺の息子は俺が自分で奥も選べねえ甲斐性無しに見えるのか?」
父親の言葉に、息子はすぐさま頭を振って答える。
彼の世界で一番強くて格好いいのは父親だった。
「じゃあ、父上と母上は『れんあいけっこん』?」
今度は幾分か晴れやかな顔で聞いてくる。
恋愛、の意味も分からないだろうにと黒鋼は苦笑を噛み殺した。
ぐしゃぐしゃと髪をかきまぜると幼子特有の高い声で嬉しげな悲鳴が上がる。そのまま視線を合わせて、黒鋼は息子に言った。
「あいつと一緒にいることは俺が自分で決めたんだ。誰に押し付けられたことでも無い」
だからお前も自分の手で選べ。
そう告げた父親に、息子は今度こそ満面の笑みを浮かべ頷いた。