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では下からどうぞ。
白と水色、色違いのパジャマを着込んだ双子がちょこん、と正座する。
風呂上りの体は湯気がでそうなくらいほかほかで、慌てて拭いた髪の毛はまだ少ししっとりと濡れていた。
顔を見合わせてどちらからともなく頷くと、小さいなりにぴっと胸をはって威儀を正す。
「「おとーさん」」
「ん?どうした?」
パジャマの色以外は何もかも揃いの双子に上機嫌で答えたのは、黒鋼の父親だった。いい具合にほろ酔い加減である。
今日は前々から約束を取り付けておいた黒鋼の家に二人してお泊りにきたのだ。
黒鋼の両親とも、もともと子供好きな性格とあって双子の希望はあっさりと叶えられた。
成り行きに一抹の不安を感じていたのは黒鋼のみ。障害はなんら存在しなかった。
そこでファイとユゥイはある決断を実行に移す。
もっとずっと前から二人で頑張ろうねと決めてあったのだが、さすがに年齢における標準から大幅に外れて賢い二人でもそれは勇気のいることだった。
きゅっと小さな拳を膝の上で握って深呼吸する双子を、黒鋼の父親は御機嫌で見ていた。
黒鋼は二人と入れ違いで風呂に入ってる真っ最中だ。
双子はもう一度深呼吸して、意を決した。
「ファイとユゥイね、黒たんのことがとってもとっても好きなの」
「三人でずーっと一緒にいたいの」
だから。
「「大きくなったら黒たんと結婚させてください、おとーさん」」
黒鋼の父親も、息子のお友達からわざわざ結婚の断りをされたのは初めてだった。
さすがにこの年の子供の求婚など、生返事で適当にあしらうのが一般的な保護者の対応だろう。
だが。
「そーか、そーか、息子のことが好きかー。我が息子ながら俺に似てモテるなあ」
すっかりいい感じに出来上がっている父親は双子の頭をぐりぐりと撫でる。そしてついでに。
「好きなんだったら結婚したくても仕方ないな。いいぞ」
本人の了承無く、あっさりと承諾した。
風呂からあがった黒鋼は父親の対応に呆れたが、酔っ払った勢いで「息子を婿にあげます」と父親が一筆書いて双子に渡していたことを翌朝知り、愕然とするのだった。