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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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にゃんこな黒白小話です。
11月22日は「いい夫婦の日」です。そして「わんわんにゃんにゃんの日」です。
当日は絶賛仕事なので長文書けそうにないので、フライングは承知でにゃんこな黒×双子置いていきます。

さーて拍手お返事書くぞ。


では下からどうぞ。

 











「困ったねー」
「どうしよう…」
にゃあ、と力なく鳴いてファイとユゥイは顔を見合わせた。

 

ファイとユゥイはアシュラさんちの飼い猫である。
真っ白な毛並みと蒼い瞳の愛くるしい仔猫はそりゃもう可愛がられていた。
ブラッシングを欠かさない毛はふわふわで太陽が当たるとキラキラと煌いた。
常は蒼い瞳は角度によっては金色に光り、見る人見る人に珍しがられた。
けれど、飼い主のアシュラさんは何も二匹が珍しいからとか血統書付きだから可愛がったわけではなく、本当に純粋に二匹のことを愛していて、可愛がった。
当然、仕事の事情で引っ越さなくてはいけなくなった時も二匹が一緒に付いて行くのは当たり前のことだった。
見知らぬ風景にいつになく興奮した二匹は、みゃーみゃーと車の窓に張り付いて新しい住処を見つめる。
知らない建物、見たことのない風景、今までと違う匂い。
新たな生活に目を輝かせる二匹を、アシュラさんも優しく見つめた。
そう、二匹の仔猫は飼い主に大事に大事に、多少過保護に育てられていた。

猫のくせに登った木からおりられなくなってしまうくらい。


多分切実に、本当に困っているのもどうしようと思っているのも木の下で待っている飼い主の方だろう。
引越しの慌しさに乗じて、開いていた窓から「探検だー!」と飛び出したは良いものの、二匹は庭の木によじ登ったところで動けなくなってしまった。
枝が細く、上手く力の入らない仔猫の足ではそれ以上どちらにも身動きがとれないのだ。
何分いつもは飼い主のやたらと広い家の中を駆け回る遊びはしても、木の上に登ったり塀の上を歩いたりという若干アクロバティックな遊びはしたことがない。
それだけに、体重のかけ方や自分のバランスしだいでゆらゆらと揺れる、やや細めの枝の上で二匹は途方にくれてしまった。


「お前たちよそ者か?」
「んにゃっ!!?」

急に掛けられた声に驚いて、ユゥイがずるりと枝から滑り落ちかける。咄嗟に前足で枝にしがみ付いたが、体全部を支えるには力が足らず、ずるずると爪が滑るのが分かった。
(落ちる――!!)
そう覚悟して二匹が目をつぶった時、ひょい、とユゥイの体が持ち上げられて、幹に近い安定した枝の上に下ろされた。
おそるおそる目を開けた二匹の前にすっくと立っていたのは一匹の大柄な黒猫だった。燃えるような赤い瞳に見入って二匹はぽかんと今現在の自分たちの状況を忘れてしまう。

「おい」
「にゃ?」
そういえばよそ者かと聞かれたのだった。
慌ててふるふると首を振る二匹。
「あのねー、ファイとユゥイはアシュラ様のところのにゃんこなの」
「今日からこのおうちにすんでるのー」
「新参者か」
くんくんと黒猫はファイとユゥイ、それぞれの首筋に顔を埋めて匂いを確かめる。
甘い花のようなシャンプーの残り香と長く柔らかな毛が絡まりもしていないことに、よほど過保護にされているのだな、と初対面の黒猫にも分かった。
「新参者のちびがこんなとこで何やってるんだ」
途端にしょぼんとうつむいてしまった二匹に黒猫も思わず焦る。
「降りられないよう…」
「お前ら本当に猫か」
黒猫は思わず突っ込みを入れた。
「仕方ねえな…」
かぷっとファイの首根っこを咥えた黒猫はあっという間に枝と幹を伝って飛び降り、アシュラの前にころりとファイを転がした。
そしてもう一度軽やかに木に登ると、同じようにユゥイをぶら下げて戻ってくる。
あまりの早業にファイもユゥイも「はにゃ?」と首を傾げた。
おかしい。自分たちはあんなにも必死でしがみ付いていたのに、何故この黒猫さんはああも容易くぴょんぴょん木の枝を跳び移れるのだろう?
小さいなりに猫としてのプライドが傷ついた二匹の横でアシュラさんは黒猫に「うちのこがお世話になりました」と語りかけていた。律儀だが、この飼い主はかなりずれている。



数日経って――。町内のボス猫に纏わりつく小さい白い毛玉、もとい仔猫二匹の姿が見られるようになり、ご近所さんを和ませた。

 

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