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親が味噌汁を焦げ付かせて大変台所が焦げ臭いです。
ちなみに作ったのは私。お豆腐新しいのあけたのにー(><。)
今回も盛大にパラレルです。
女体ならメイドなのか女中さんスタイルなのか。男だったら執事に成長するのか。
個人的萌えは女中さんスタイルです。が、メイドも執事も捨て難い…。
BGMは「つきのしじま」でした。
ちなみににょただと続きのネタが2本くらいあります。
今日もう一本仕上げたかったけど無理っぽいので次の休みに回します。
その間になにか小ネタは上げられるといいなーと思ってます。
数打ちゃあたる方針です。
そろそろカテゴリーも黒ファイでくくらずに細かく分けたほうがいいのでしょうか。
お題とかパラレルとか。
…まあもう少し書き溜めたら……でいいかなー。(そうして片付かない)
GWは絶賛お仕事です!連休中休みないのは覚悟してましたが今月末、連休前から休みなしで連休の間の勤務を乗り切れとは無茶な…。
また半月休みなしとかでしょうか(遠い目)
パートさんとの合言葉は「やっぱり転職しましょう」(涙)
それではパラレル小話は続きからどうぞ。
広い屋敷が今はどこもかしこもひどく騒がしい。
普段なら行儀良く歩みを進めるはずの廊下を、ファイはバタバタと耳障りな音が響くのも構わず駆けていた。しかし今は誰も咎めはしない。
入室の許しも得ず、慌ただしく飛込んだ室内だけがひんやりと空気を異にしていた。
二つ並んだ黒い棺の前で背筋を伸ばして座した少年がファイを振り返る。それがひどくゆっくりしたものに感じられた。
「若様…」
「お前も最後の別れをしてやってくれ」
かすれた声がどうにか紡いだのは彼の名前で一つきりでそれ以上喋るのが怖くて堪らない。
主夫妻の訃報を知らされた時に、何よりも先に頭に浮かんだのは一人遺される彼らの息子のこと。
主夫妻が心から慈しんでいた一粒種。父親に瓜二つの彼の成長を屋敷の皆が楽しみにしていた。
そしてファイにとっては彼ら家族こそが幸福の体言であり、宝物のような穏やかな日々は、けして奪われてはならないものだった。
ファイがそれまでの世界の全てだった家族を亡くしたのも予期せぬ事故だった。一瞬のうちに庇護者である両親と、自分の半分だとさえ思っていた双子の弟を奪われて、寄る辺のない身はただ呆然とする以外になかった。
初めて喪失として実感したのは、夜。誰の息遣いも聞こえない冷たい寝具の中で。独りなのだと理解したあとは堰を切ったように涙が溢れた。
そんな境遇を哀れんだのか、事故に関わっていた誰かが手を回してくれたらしく、詳しい経緯は分からないにせよこの屋敷に引き取られた。
『うちには息子がいるの。貴方よりもまだ小さいんだけど、仲良くしてくれると嬉しいわ』
孤児として生きる他ない寸前で伸ばされた手は、金持ちの気まぐれや篤志家の慈善行為などという言葉ではくくれないほど温かくファイを包み込んだ。
使用人、と名はついていても主人の人柄か、屋敷そのものが大所帯の家族のようなものだった。幼い子どもが他にいない屋敷の中では主の息子の友人として過ごし、躾として分け隔てなく怒られることもあった。
大らかな主と優しいその妻と。二人のかけがえのない宝物とを支えて生きていくのだと誰に誓うともなしに決めていた。
「あまり嘆いてばかりいるな」
まだ15にも満たない少年を皆が心配したが、一番気丈だったのは少年本人だった。
嘆き、うろたえる屋敷の者に淡々と告げる。
「二人とも本当に仲睦まじかったから…せめて、最期まで愛する者と離れることがなかったのが救いだった。
どちらか一人取り残されてしまったら…きっと俺以上に辛い思いをした」
ぎゅっと膝の上で白くなるほどにきつく拳を握り締める黒鋼を冷たい物言いだとは誰も言えない。
火の番をすると告げた黒鋼に、皆休むように勧めたけれど「最後の親子の時間を過ごしたい」と言われては、それを駄目だとは誰も口にできなかった。
涙一つこぼさぬ少年がどれ程の嘆きを味わっているか、推し量ることは出来ても誰もそれを代わってやれはし
ない。
蝋燭に灯された火がゆらりと揺れる。
「お前も休めといったろう」
「だってオレのお仕事は若様のお世話だもの」
出来るだけ静かに襖を開けたつもりだったが、他に音のない夜の闇にそれはことさらに響いた。
運んできた番茶からは湯気が立ち、少しだけ強張った体をほぐしてくれる気がした。
数口、それを嚥下しながら黒鋼がぽつりぽつりと語りだす。
「葬儀がすんで落ち着いたら、皆の身の振り方の目処も立つだろう。
この家の管理や給金なんかは親父が生きてる間に出来ることはしてあるみたいだし、俺が成人するまでは本家の当主がきちんと取り計らってくれるようになってる。
お前も今から考えておけ。やりたいことや行きたいところがあるなら出来る限り希望に添うようにする」
少年は両親亡き後の自分の責任を心得ているからこそ、悲しみに浸るだけのことも許されず次のことにまで考えを馳せなければいけない。
けれど、やはりそれを悲しいと思うのだ。まして、そんな相手を放り出していけると思っているのか。
「覚えてるかなぁ、オレがお屋敷に来た日」
奥方に優しく促されて門をくぐったあの時、両親に「お帰りなさい!」と弾むように駆け寄って来た小さな子ども。
一旦父親に飛び付いたものの、ファイに気付くと金の髪を珍しがってすぐに傍らに寄って来る。
ファイが天涯孤独の身だと知ると、回りきらない両の腕で抱きしめた。子どもの抱擁は温かかった。
「これからはオレが傍にいるから淋しくないぞ」
自分の胸元までの背丈しかない幼子が一所懸命に慰めようとするのに、どうしようもなく涙が零れて、小さい手が慌ててぽろぽろと零れるそれを拭った。
「オレはあの時、きっと泣きながら嬉しかったんだ。
旦那様や奥様に言われたからじゃなくて、オレは自分で君の傍にいるって決めたんだよ。
オレのことを心配して『傍にいる』って慰めてくれようとした君に出来ることがあるならそれがしたいって」
手を伸ばして頭を引き寄せれば、不意をついたおかげで易々と肩口にそれをのせることに成功する。
「おい」とくぐもった抗議の声が上がったが、自分の髪とは手触りの違う短い黒髪を撫でて、もう片方の腕を黒鋼の背に回した。
「あのね」
囁くように告げる。
「オレは君のためにずっと傍にいるんだから。
辛いことや悲しいことを隠しちゃダメだよ」
ぎゅっと黒鋼が体を硬くしたのが伝わる。
「そばにいるから」
嗚咽は聞こえなかった。
ただ、顔を伏せさせた肩がじわじわと熱く濡れていく。
出会った時胸元までしかなかった背丈はいつの間にかファイと同じ視界を持つくらいに伸びた。肩幅も段々大人の男性のそれへと近づいている。
きっとこれからもどんどん大きくなっていく。いつかファイの手を必要としなくなる日が来るかもしれない。
けれど、その日までは。泣ける場所に、笑える場所に。