待ち人

日本国永住設定小話です。

日常では無理だろうと思いつつ、釜とか土鍋で炊いたご飯が食べたい今日このごろ。


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では下からどうぞ。

昼下がり、炊事場の片隅を借りてファイは汁を温め、麦飯を炊いていた。
今日は黒鋼が遠征から帰ってくる。
事後処理のため、本隊より一日遅れての帰還だった。
言って下さればご用意しますよ、と賄いの女中が声をかけてくれたが時間外にわざわざ仕事をさせるのも申し訳ない。
昼の片付けと夕食の準備の僅かな合間に頼み込み、簡単な食事を用意する。

蕪と蕪の葉と揚げの味噌汁に焼きねぎの和え物、白菜と大根の浅漬け。
梅の塩漬けを炊き上がった麦飯の中に入れて握り飯をこしらえれば、簡単ながらも一食の出来上がりだった。

温かな湯気をたてる食事を膳に盛り付け、部屋へと向かうファイの耳に遠く、渡り廊下の向こうがざわつくのが聞こえた。
思わずくすりと笑みをこぼしながら、歩みも自然と急ぎだす。
待ち人の帰還はもう間もなくだ。