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苦労人忍者のちび双子子育て話の続きです。
ちなみにこの双子が女の子だったりした場合、家に連れ帰って沐浴でもさせようと服を脱がせた時点でえらいことになります。
大慌ての黒鋼と、「裸を見た相手と結婚するのー、くろ様と結婚ー」と大はしゃぎの双子(笑)
雷が…。
製本したいのに…。雷…。PCが…。雷…。
神鳴、という漢字のほうが好きです。
通販の案内は夜に纏めてさせていただきます。発送は早くて来週からになります。
お待たせしてごめんなさい。
頑張ります。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ~。
白鷺城の磨き抜かれた廊下を歩く人々は、皆一様に驚いて歩みを止める。
まじまじと自分が見ているものが信じられない思いで凝視した後、慌てて目を逸らすのだ。
不機嫌な顔をした鬼がいる。
鬼、もとい、黒鋼の腕には大変似つかわしくない双子の幼子が乗っかっていた。
細い体は二人纏めて抱え上げても片手で事足りる。
黒鋼の顰め面を物ともしないあたり豪胆なのかもしれない。末頼もしいのやら、末恐ろしいのやら。
子どもたちはそんな周囲の目線など気にも留めない様子で黒鋼に身を預けている。
不機嫌な顔の黒鋼はというと…。至極複雑な気分であった。
正座で足が痺れたという子どもたちの足に触れて気がついたことがある。
足の筋力が極端に弱いのだ。黒鋼が二人と同じ年頃の子どもと接する機会は少ないが、それでも二人の体が並外れて細いことには気づかされる。
望まれた子どもではなかったのだと、本人たちが言っていた。
一見すると肌や髪も痛んでおらず身綺麗にしている。あからさまに虐げられた痕跡こそはないものの、その存在を忌避された二人の子どもが、外を自由に走り回って遊べるような環境で育てられていないだろうことは想像するに難くない。
足弱な二人が黒鋼の歩調に合わせることは到底困難で、姫君の御前を下った黒鋼は仕方なく二人を抱き上げたのだ。
途端に双子が体を強張らせた。
抱き上げられるのを嫌がったのかと思った黒鋼に、ファイがおずおずと口を開いた。
「…くろ様は、ファイたちに触ってもだいじょうぶ?」
子どもの言ったことの意味が分からなくて、眉を寄せた黒鋼にユゥイもおそるおそる様子を窺うように視線を投げかける。
「ユゥイたちのこと、…気持ち悪くない?」
その一言で得心がいった。
こうして、誰かに抱き上げられたこと記憶すらないのだ。この子どもたちは。
本来、生まれてから今までに与えられるべき庇護や愛情を何一つ受けずに育ったのだ。
今は黒鋼だけが自分たちを生かしてくれるのだと信じている子どもたちを、見捨てることはどうにも出来なくなっていた。
「別にどうってことねえよ。それよりも落ちないようにちゃんと掴まってろ」
ぶっきらぼうに吐き捨てた黒鋼の声に、双子は驚いたように瞳を瞬かせると嬉しそうに頷いてぎゅっと抱きついてきた。
小さな手の、精一杯の力だった。