世界の片隅の奇妙な出会い･三十

苦労人忍者の子育て話です。

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では下からどうぞ。

侍女の一人がふと気がついた。
術の鍛錬を終えて絵を描くことに熱中していた子どもたちが、いつの間にかじっと襖を見つめている。

何かあったのかと声をかけようとした時、双子たちが慌てて顔を落とし描きかけの絵へと向き合う。
ややあって足音が襖の向こうから近づいてきた。

がらりと襖が滑る音に、さも『今気付いた』風に双子が顔を上げた。

「黒様だ～」
「お帰りなさい。あのね、ユゥイとファイ、お絵かきしながら待ってたよ」
「ファイとユゥイいい子？ちゃんと待ってたよ」

大柄な忍者の足にまとわりつく子どもの顔に憂いの影はない。
寂しそうに開かない襖を見つめていた顔が満面の笑みに染まるのを、本人たちだけが知らないのだ。