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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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黒白にゃんこです。

風邪で体調が微妙です…。
微熱と鼻水が…、去年はたしかこんな体調が続いていたと思ったら急に喉にきて、声が出なくなったことがありました。
気をつけねば…。

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。

 






半ば放任主義の黒鋼の飼い主だが、今日ばかりは事情が違っていた。
「黒鋼、本日はパトロールの予定は取りやめて私に付き合っていただきますわ」
滅多にない飼い主の提案に、ご町内のボス猫は、ふん、と鼻を鳴らしただけだった。一応拒否するつもりはないようだ。
運転手付き・黒塗りの車に乗り込んだ主に一応の意向を尋ねる。
「何の用だ」
猫なのにひたすらに偉そうな黒鋼を恐れる気配もなく、知世はたおやかに微笑んだ。

「貴方のお見合いですわ」
白く小さな少女の手は、がっしりと、飼い猫の逃亡を許さない。


「黒たんだー!」
「本当に黒たんだー!!」
何故か、本物本物ーvとはしゃぐ毛玉二匹に黒鋼は張り付かれている。
ドナドナされた先は勝手知ったる他人、もとい猫の家。
いらっしゃい、と出迎えた毛玉の飼い主と黒鋼の飼い主の少女はどうやら知己であるようで、二人とも優雅にお茶を飲んでいる。
その足元で黒鋼が毛玉に纏わりつかれているのを見つめながら。
文句を言おうと口を開いた黒鋼だが、右からファイに、左からはユゥイにぴょんぴょんと飛びつかれ、それも出来なかった。
よほど興奮しているのか耳も尻尾もぴんと立って、何時までも落ち着きそうにない。
がー!と叫びだしたいが、なんだか大人げない気がして止めた。
「見合いってこいつらとかよ!?」
「ええ、本当に仲良しさんですわねえ。これなら私も安心してお婿に出せますわーv」
お婿、の単語にぴくんと反応した二匹はちょこん、と飼い主のアシュラの前に座り込むと、いいの?と首を傾げた。
だって黒鋼が言ったのだ。お前らの飼い主なら血統書つきのちゃんとした相手を探す、と。
それがショックで悲しかったけれど、黒鋼の飼い主の知世ちゃんは「大丈夫」と言った。実際に今朝「今日はファイとユゥイのお見合いだよ」と言われ、蓋をあけると連れてこられていたのは(連行、という単語が二匹の頭を過ぎった)ボス猫の黒鋼だった。
それでもにわかには信じられず、上目遣いに飼い主を窺った。
「アシュラさま、ファイとユゥイねお婿さんは黒たんがいいの」
「黒たんと結婚してもいい?」
二匹は、駄目だって言われたら黒鋼に駆け落ちしてもらおう、とちょっと考えた。
そんな二匹の頭を撫でて、アシュラはいいよ、と頷く。
「釣り合いで決めるのもいいかもしれないけれど、自分が望んだ相手と幸せになれるならそれに越したことはないからね」
「アシュラさま…」
じーんと感動するやり取りを、次の一言で二匹は見事に粉砕した。

「「それって自分が釣り合いだけで決めて失敗しちゃったからー?」」
無邪気に小首を傾げる仔猫は、飼い主にクリティカルヒットを繰り出した。
浪費癖のある奥様と調停がもつれている飼い主さんは、無言でそっと目を逸らした。

「お前ら、飼い主の古傷抉るなよ…」
黒鋼は少し同情した。
知世は聞かなかった振りをする。これが大人の処世術だ。


そのまま飼い主に置き去りに…ではなく婿養子として置いていかれた黒鋼は憤懣やるかたなく、不機嫌に尻尾を揺らす。
毛玉二匹はちょっと不安になって一生懸命様子を窺った。
「黒たん、ご機嫌ななめー」
「もしかしたら、まだ結婚したくなくて遊びたいお年頃だったのかも!」
「そっかー」
どうしよー、悪いことしちゃったかなあと胸を痛める二匹の心配の方向性は微妙に合っていて微妙に間違っていた。

「黒たん、ごめんね」
「ファイもユゥイもまだお子様だから不満だよねえ」
ちょこちょこと黒鋼の背後から小さく前足でつつく毛玉二匹のしょんぼりした声に、黒鋼の気配が少し和らぐ。
「あのねー、だからねー」
「ファイとユゥイが成長するまでの間は…」
我慢しろとでもいいたいのか、と少しばかりやさぐれ気味になってしまう黒鋼の耳をとんでもない爆弾が攻撃した。

「「発情期の交尾は後腐れのないお他所の雌猫さんでお願いー」」

ごつん。
浮気(体?)公認宣言を繰り出されて、黒鋼は思わず床に頭を打つ。
「体はしょうがないからいいのー、でも心は駄目なのー!」
「心変わりしないように後引かない相手にしてね!ぜったいお嫁さんの座からは降りないからね!」
「…」
予想斜め上な毛玉二匹の発想に、黒鋼は床に突っ伏したまま決意した。

こいつら、野放しにしないほうがいいんだろうな、と。


 

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