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腰痛のため本日は就活お休みです…。
てか本気で体調が悪いのと気持ち悪いのが…。仕事というか環境ががこんなにストレスになるなんて。
仕事行くの考えるとちょっと泣きそうです。
すみません、もっと色々更新したかったんですけど(拍手とか小ネタとか)無理そうです。
この話ももう少し先まで書きたかったのですが、どうにも区切りが悪く今日はここで止めておきます。
お待ちいただいている方々には申し訳ないです。ほんとうにごめんなさい。
余力があれば携帯から小ネタアップできたらいいな、と思っています。
ちょっと仮眠とります…。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ。
ぼんやりと、ファイはあてどなく視線を彷徨わせた。
自分のものよりも高い体温に包まれたまま、どうすればいいのかも分からない。
けれど、抱きしめられている喜びと、これからどうなるか分からない不安に体が内側から弾けてしまいそうになる。
何かを言おうとして、唇を動かすのだけれど、結局言葉がみつからないまま空しく口を閉ざす。
このまま時間が流れていかなければいいのに。
ひっそりとそんな願いを胸に浮かべて、ファイは瞳を閉じた。
抱きしめられている。黒鋼が何を思ってのことなのか分からないが、それだけは今たしかに本当のことだった。
黒鋼が動いたのにつられて、体が自分の意思ではない方向にゆっくりと傾ぐ。
密着していた体が離れて、互いの体の間に空気が入るのを残念だと思えたのは一瞬のことだった。目の前が不意に翳った、と感じた時には、もう唇が触れ合っていた。
キスされたのだ、と分かったのは黒鋼がファイから離れてからで、触れるだけのそれに嬉しさを感じる間もなかった。
「気持ち悪くないの…?オレのこと」
一瞬の出来事が信じられなくて、呆然と尋ねるファイの前で黒鋼は気まずそうに目を逸らした。
「気持ち悪いとか思ってるやつにしねえだろ。こんなこと…」
口下手な上に、そもそもこういった話題自体が不得手なのだろう、黒鋼は。言いづらそうにしているのが、却って彼が本心からそう思っているのだと分かった。
「あのね、オレ男だし、ホストとかやってるし、馬鹿みたいなことばっかりしてるけど。…でも、君のことが好きなのは、本当だよ」
遊びで、酔狂で、こんなマネをするような男ではない。黒鋼という人間は。
「…じゃあ、君は?」
万に一つの可能性に、希望に。もしかしたら望みを持っていいのだろうかと、ファイの胸が騒いだ。
同時に、突き放すのならばいっそ徹底的に突き放されたいと自虐的に考えていたのも事実だ。
気まぐれの同情でされたキスでも、嬉しいから。これが終わりでも構わない。
「君はオレのこと、どう思ってる?」
赤い瞳の断罪を待つように、黒鋼の瞳を覗き込んだ。
答えは二択だ。それ以外の逃げは、ファイにも黒鋼にももう無い。
言いよどむ黒鋼は、今、おそらくファイのことだけを考えている。自分のことを必死になって考えている黒鋼の姿。ファイはそれだけで満足しそうだった。
「…同じだ。お前と」
ぼそぼそと言い辛そうにしながら、黒鋼の瞳がファイから逸らされることは無い。
言葉の意味を何度も何度も胸の中で反芻させて、ファイはようやく笑った。
「黒様、その言い方ズルイよ」
ぎこちない微笑みに、詫びるように黒鋼がもう一度唇を落とす。
信じられない気持ちと、信じたい気持ちの両方で、ファイは口付けを受け入れた。
その途端、世界の何もかもに色が戻ってきた。
何となく言葉がつげなくなった二人は、気まずさとも違う空気の中で並んで朝食を摂る。
1分ほど茹で時間を過ぎてしまった麺は、理想どおりのアルデンテではなかったけれど、温かで柔らかな食事の匂いはファイの内側から満たしていった。
湯気の立つ皿から一口、ゆっくりと噛み締めてファイは小さく微笑む。
「美味しいね」
「元はお前が作ったもんだろ」
「黒様と食べてるから」
はにかむファイに黒鋼が口ごもる。
一緒にいられることが不思議なようで、当然のようでもあった。
ひとつ、以前と違うことは、今日からキスが増えた。