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あれも書きたい、これも書きたい。
時間がないよー。(涙)
最近仕事行くのが嫌で、明日仕事いくことを想像してうっかり涙ぐみそうになりました。
我がことながら「お前本当に仕事嫌いだな」と突っ込んだ。
今日付けで一人退職するのですが、代わりの人員補充が出来ていないという…。
世の中不況で職を探している人はたくさんいるのに、人がこないってどんだけ(略)
まあ最低ラインからスタートしたら大抵のことは耐えられるようになるはず、そう考えます。
自分に苦行スイッチがついていたらいいのにな、そんな妄想。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ~。
新学期の始まった職員室。
ざわざわとどこか慌しいその中を、ひと際上機嫌な男が体育教師のもとへと歩み寄った。足取りは軽く、今にも踊りだしそうな勢いで。
「黒鋼、ちょい聞いてえなー」
関西弁特有のイントネーションは耳に飛び込んだ瞬間、嫌でもそれが誰だかわかる。
騒々しいのがまた来た、とばかりに黒鋼は片方の眉を上げた。
しかしながら、生憎と問題の発生源である歴史教師の空汰がそれを気にするような性格では無かったのだが。
黒鋼の内心の溜息には気がつかず――仮に気がついたとしても、構わず喋り倒す男ではあるのだが。空汰はやたらとハイテンションで黒鋼に捲くし立てた。
「黒鋼!わいはやったで!男空汰、この度めでたくついにハニーと恋人になりました」
何故かノリノリで敬礼して黒鋼に報告してくる空汰に、黒鋼は短く「ああ」とだけ返した。
っつーことは今まで恋人でもないのに「ハニー」呼ばわりしていたのか、とはふと考えたりもしたが。
同僚のこの男が近所のアパートの大家の娘に一目惚れして、口説き落とすのに四苦八苦していたのは周知の事実だった。
泣き落としに近い形で同僚、友人らの力を借り、グループでの飲み会や遊びに行ったりと地道な努力を重ね、どうにか交際するまでに至ったらしい。
数合わせで合コンに引きずり出された経験のある黒鋼は、騒がしいが人の良いこの男がそれなりに落ち着いてくれることを喜んだ。
それなりの祝福と、あとはそれを越えるもう振り回される心配のないであろう安堵感で。
「というわけで、次は俺が黒鋼の恋のキューピッドになったる番やな。前の飲み会もさっさと帰ってもうたし、自分誰か好きな娘おらへんのかいな」
人間、恋が成就して色ボケていると、途端に他人も同じ色に染めたくなるらしい。
彼女彼氏が出来た知己がその途端「で、お前はどうよ」と他人の恋愛事情に首を突っ込んでくるのに、黒鋼は辟易していた。
幸せのおすそ分けを夢見る人間には、それが大きなお世話とも余計なこととも思えないところが、相手をするのに骨を折るところなのだ。
「別にどうでもいいだろ」
「なんや~。つまらんなー」
淡々と返す黒鋼に空汰はブーイングの山だ。
「キューピッドなんぞ今更必要ねえよ。今週籍入れる予定だってのに」
「は?」
いい加減相手をするのが面倒だったのもあるが、同僚としていずれは報告しておかなければならない事実だ。
さっさと済ませておこうと決めると、後は早かった。
「もしもしー、黒鋼。籍入れるって…」
「結婚すんだよ」
「は?ホンマ?誰と?こないだの飲み会の時は彼女おらん言うてたやん!?」
頭の中が疑問符だらけの空汰が混乱気味に黒鋼に問いただした。
パニック状態の空汰とは裏腹に、黒鋼は冷静に職員室のとある一角を示した。
「あれと」
空汰は驚きのあまりに言葉を失った。
視線の先には、ふわふわとした金色の髪が揺れている。
化学を担当する教師は数人いたが、その中で女性、おまけに金髪となると一人しかいない。
たしかに彼女は美人で気立ても良い。
ただし、あの化学教師とこの体育教師が恋愛を経て結婚、という男女の組み合わせとして想定されるか、というとそれは多くの人間が甚だ疑問に思うだろう。
それくらい、接点が無い二人だった。
予想外の事実に思考が停止した空汰に、黒鋼はきっちり釘を刺しておくのも忘れない。
「あんまべらべら喋るなよ。安定期入るまでは静かにさせておいてやりたいからな」
「…あんていき」
今度こそ、歴史教師の脳裏は真っ白になった。