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michi様からネタを頂戴いたしました。
だって、日記のネタが、素敵で…。
ご許可いただいたくせに上手く活かせなくて悔しいのです。
アザの主成分は他サイト様の優しさとお情けで出来ています。(きっぱり)
本は相棒の協力で出来ています。(仮名製作→「センスがないから表紙も文字だけでいいよね」になる)
より正確には相棒の協力無しには本が出来ない…。
自立できてないダメな子丸出しですみません。
これからもよろしくお願いいたします。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ。
抱かれたい、抱き合いたい。そんな欲求とは近いようでいて異なる、『触れられたい、触れ合いたい』という望み。
成人した男のそれよりもそこか幼子の寂しさにも似たそんな気持ちが、ファイの手を黒鋼に伸ばさせた。
「ねえ」
いつもよりも幾分か掠れた声でその寝間着の背を引っ張る。
黒鋼が是、と応じるのならばいつもの粗暴さとは裏腹な柔らかい口接けが落とされるはずだった。
既に半ば夢路を辿りかけた男の意識をこちらにどう向けるのか、といたずらっぽく思案するファイの手は艶かしさと稚さの危うい境界で薄い寝間着越しの男の体を撫でる。
眠りを邪魔された黒鋼の赤い瞳が、僅かばかり不機嫌そうにファイを見遣った。それに微笑み返す。
触れ合いたいとは思ったものの、体を繋げないまでもその両の腕に包まれて眠れるのならば、それはそれで幸せな心地に違いない。
そう思って静かに黒鋼の唇に指を這わせた。ゆるゆると、じれったさを感じるほど緩慢に。
体を起こした男にいたずらな手を握りこまれ、そのまま褥へと沈められる。
抱きしめられるのでも、求められるのでも、どちらでも構わない。そう思ってその逞しい首を抱き寄せようとしたファイの腕を黒鋼は押し留めた。
そのまま、ファイの寝間着の帯さえ解かず、黒鋼は下肢の袷に手を差し入れた。
「ちょ…っ、黒様…!」
性急すぎる。そう思って静止の言葉をかけようとした瞬間、黒鋼がファイの欲求だけを処理しようとしているのを理解した。
「違っ…」
確かに男の体は欲を吐き出せば満たされるように出来ている。けれど、自分が今宵望んだのはそんな触れ合いではないのだと。
抗う言葉は男の唇に塞がれ、出口を見失う。
黒鋼の手指が明確な意図でファイを刺激する。余分な動きなど微塵もない、ただその目的のためだけに動かされる手は、過たず最も敏感な場所へと触れてくる。
悔しさと裏腹な気持ち良さに、反射的に瞳が潤むのが自分でもはっきりと分かった。
体のどこもかしこも、知り尽くした男の手管に翻弄されるまま、一方的に熱を追い上げられ、ぞくりと寒気にも似た快楽の気配に飲みこまれる。
節くれ立った指が、ファイ自身に絡みつき、濡れた音をたてていく。耳を侵すその音に羞恥を煽られるのにも、今は為す術もない。
唇を塞がれたまま追い上げられた体は、声すら相手の口内に飲み込まれていくように絶頂を迎えた。
「~っ!黒鋼の、っ馬鹿…!」
「るせえな…」
自分だけを果てさせた後、さっさと背中を向けて寝ようとする最低男の背中を雑言混じりにげしげしと蹴りつけた。
生憎と、甘やかな痺れの名残のせいで足に力は入らずバタバタと仔猫がもがくような動きにしかならなかったけれど。
(信じられない…っ!)
気だるさと悔しさにぎゅっと唇を噛むファイのことなど知らぬ気な黒鋼に抱き込まれ、夜は更けていった。
そんなわけで今日の朝餉は昨晩の残りの麦飯の握り飯と、梅の塩漬けのみだった。
いつもならば少なくともこれに温かな汁物なり煮物なりがつくのだが。
「…」
ちらりと視線をやった先でこれ以上ないくらい涼しげな微笑が、「何か?」と最大限の不機嫌さを隠しもせずに黒鋼に向けられる。
さすがにそれに口答えするような無謀な真似は出来ず、黙ったまま口に運んだ麦飯はとっくに冷えているせいかぼそぼそと乾燥していて不味かった。
―余談―
その夜、機嫌を損ねたままでは拙いかとファイの体を抱き寄せた黒鋼に
「一人で抜いてろよ、この馬鹿」
これ以上ない美しい作り笑いと冷ややかな言葉が返された。