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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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もうすっかり忘れられているであろう、遊女パラレルの小話。
ふ、と思いついたので。
書きたかったので。


というわけでまたホストの続き書いてきます。


では下からどうぞー。







春、花曇。宵の空を覆う白い花びらが、ぼう、と月明かりに浮かび上がる。
はらり、はらり、と。涙雨の如くに落ちる花弁に、白い腕がそっと伸びた。
煌びやかな衣よりも、その白がどれほどに男の目を奪うやら。
思わず、と今宵の客が肩を抱くのを咎めはせず、なすがままに身を預けた。
蒼の瞳。人の呼ばうは、青玉太夫。
はたしてその瞳に映るのは現か。ぼうと定まらぬ瞳の色を、手に入れたいと望んだ者は数知れず。

「お前が望むなら、この鳥籠から出してやろう。冨ならばいくらでもある。どうか…」
幻の恋に浮かされ、熱っぽくかき口説く客にちらとも視線を向けぬまま。太夫の蒼はひたと夜の空虚を見据えている。

朱塗りの格子。鳥籠。
仮令男が『鳥籠』と称した楼閣を出たとして、それでこの身がなんとなろう。
絢爛の絹、螺鈿の簪、金銀の笄。
雁字搦めの場所と人とが入れ違うのみ。
笑みの欠片も、白い面には浮かばず。
今宵の、仮初の情人に向ける熱の一切はなく。
只、感情の篭らぬ音が零れる。

「飛べる空など、わっちにはありいせん」

飛べぬ鳥。ひとり。
それでもひとつ。
願うならば。

睨みつけるように真っ直ぐな、赤い瞳。
あの赤に、この身を射抜かれて。
焦がれ死ねたらどれほどの。

どれほどの。

蒼を閉ざし。瞼裏に浮かぶは一人。
ただ一人。


 

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