男心は複雑である

日本国永住設定小話です。

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。

白鷺城には些細な行事やご機嫌伺いと称して、大した用もないのに高官が集う。
面倒なのは晴れがましい席にいないのが恥だとでもいうように、何かと彼らが妙齢になった娘を連れてくるせいで警備をそれに割かなければならない。
他にもごく稀に、何らかの目的で男の忍者をたぶらかそうと目論む女忍も潜入している。

思惑や立場は様々だが、女達の限度を考えてない薫物の匂いが纏わりついたり、ベタベタと張り付かれたり、それだけで黒鋼には不愉快だ。

おまけに、だ。
彼が唯一側に、と願った相手は実に薄情だ。


「黒様、姫様の前に出るのにあんまりきつい移り香とかさせちゃ駄目だからねー。白粉も落としていかなきゃだよー」

これが女房気取りの焼きもちならばまだ可愛いものを。