知らぬは本人ばかり

日本国永住小話です。
後から事情を知らされて頭を抱えた人約一名。


拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。

ファイは困っていた。

何が何やら分からぬが、このところ身に覚えのないような手紙やら贈り物やら…果ては果たし合いの申し込みのような勢いで人間そのものがやってくるのだ。

日本国の言葉や文化にまだ疎いファイには理解が出来ない。
仕方がないので、数少ない理解者に相談してみる。
受け取った文を持参し、耳が拾った意味の分からない単語を思い出せる限り伝えた。
しばし頬に手を添えていた姫君は、心得たとばかりにうなずく。

「ご安心なさって下さい。身も心も黒鋼のものだと宣言すればそんな不躾な誘いは瞬く間になくなりますわ」

姫君の言っている意味も実のところよくわからなかったが、実際言われたとおりにしてみると次の日からぴたりと悩まされていた現象は止んだ。
大変有難い。