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二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
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黒双子にするか日本国特殊設定なのか迷いましたが、双子がいるのでこちらで。

坂崎さんとこのちびたち可愛いなあ、から始まった妄想です。
チャットでご許可いただいたので、大手を振って書いてみました!
ありがとうございます。

当ブログの半分以上は色んな人の優しさで出来ています。
残りは私の妄想。(色々と台無しだ)

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞー。








目の前に奇妙な生き物がいた。

黒鋼のことをじっと二対の蒼い眼で見上げるその小さい生き物は、どうやら人間らしかった。
らしかった、と言うのはその彼ら(?)の容貌と色彩が、黒鋼の良く知る「人間」という生き物の範疇から大幅にずれていたためだ。
どうしたものかと忍者らしからぬ迷いに頭を悩ませたその時、目の前の生き物がつぶらな瞳をぱしぱしと瞬かせきゅっと唇に力をこめた。
そのまま黒鋼に対してちょこんと頭を下げてくる。

「「今日からよろしくお願いします、ご主人様」」

「はあ!?」

予想外の言葉に声をあげた黒鋼の脳裏に、走馬灯のようにここ最近の出来事が流れた。


遡ること半年ほど前。日本国は北方の国から侵略を仕掛けられた。
雪解けにようやく田畑に種を蒔く季節の訪れを感じた頃である。
珍しく穏やかな海の上に突如として大掛かりな船の影が立ち並んだ。
突然のことに慌てふためく日本国の民の姿を嘲笑うように、侵略者の攻撃は手始めにその地へと向けられた。
しかし、敵国が武装した船団を差し向けてきた領土もまた厳しい寒さと荒れやすい海に鍛えられた地である。
帝の住まう都から離れていたために初動の援軍措置が遅れたものの、苦しいながらも敵勢の攻撃を凌ぎ、帝の差し向けた忍軍兵軍の到着まで持ちこたえて見せた。
思わぬ抵抗に手こずった北方からの侵攻者たちは疲労しはじめていたところに、忍軍兵軍の精鋭による攻撃を受け総崩れとなった。
死者の数は少なかったものの我先にと逃げ始めた敵兵同士の間で混乱が起こり始める。
敵将を一人捕らえたところでその混乱に拍車がかかり、無事だった船のそこかしこで命ばかりは助かりたいと、逃亡を図る味方同士による騒ぎが生じた。
そうなればしめたもので、忍や兵が手を下さずとも勝手に自滅してくれるばかりだ。
後は頃合を見て、残りの兵を生け捕れば良い。無論、その頃には戦闘意欲のあるものなど残ってはいなかったのだが。
忍軍兵軍の到着から四日目。勝敗は決した。

日本国は元来が魔物が跋扈し、ともすれば隣接する領地同士での争いが起こりやすい国でもある。
異能を備え破魔刀でなければ倒せない魔物と違い、人間同士の争いは人間が行うものだ。当然振るわれる武器は破魔刀といった特別な物ではなく、使う人間も忍や兵のように特別な訓練を受けたものではない。
しかし、そのためにいざとなればその直前まで鍬や鋤を持ち田畑を耕していた百姓でさえも、自らの身をあるいは家族を守るために刀を持ち戦闘へと加わるのだ。
女性や子どもも兵糧の補給、武具の手入れと後方支援に勤しむ。
彼らもまた立派な戦力である。
いわば民そのものが守られるべき民であると同時に、戦う兵士でもあるのだ。
日本国の「戦力」が、他国の職業としての兵士や傭兵だけで構成させる軍と大きく違うのはその点でもある。
それを計算に入れず、初手を楽に攻略できると思っていたことが敗因の一つであった。

黒鋼もその戦闘に参加し、一個部隊を指揮していたのだった。
もともと機動隠密による一匹狼的な働きの多い男であるが、その実力は誰しもが認めていた。
かといって個人の戦闘力の高さが即部隊を指揮する能力に繋がるかというと、けしてそうではない。
それを危ぶむ声もあったが、常日ごろから彼の戦いを間近に見ていた帝その人が直々に命を下した瞬間から、それは絶対の事実になる。
いざ戦が終ってみると、最初に浮かんだ懸念はなんだったのかというほど危なげなく、黒鋼は率いる部隊は仕事を終えていた。
手練れの忍に与えられる役割だけあって、危険かつ難解な役目も多かったが、負傷者の数も少なく無事に任務を果たすことが出来た。
戦士としての力だけでなく将としての才能もあったか、と彼を知る人間は納得が半分、まぐれ当たりではという疑念が半分でそう囁く。
いずれにせよ、華々しい勝利の一翼を担った男ではあったが、その戦いが終るとまた以前と同じように、任務は単独行動なのであった。

北方の国の侵略は、貿易のための拠点となる港を欲してのことだったが、黒鋼にとってはどうでもいいことだった。
黒鋼の目的は戦いそのものであり、そこに付随する誰かの思惑などは煩わしいだけで一考する価値すらも無い。
敵国の日本国へ対する補償や捕虜解放の交渉など、小難しいことは全て然るべき人間があたっている。
詫びに金銀がいくら贈ってこられる、やら奴隷が連れて来られるなど、真偽の分からぬ噂は多い。
しかしそのような事後のことまで彼は自分が頭を悩ませる必要はないと思っていた。
守ると決めた唯一の主と、それを守る己。黒鋼はそればかりを考えていればそれで事足りると思っていたのだが。

ある日至急で、と忍軍の上役からの呼び出しを受けた。
上役とはいっても、黒鋼本人にはあまり関わりのない人物である。互いにそれを認識してもいる。
相手に与えられた地位がそれなりのものであるので、一応対外的な配慮はしてやるべきだろうという余裕もある。個人の資質についても特に不足を感じないので、噛み付く必要性を感じない。
相手もまた黒鋼の実力を認識し、帝や姫巫女の身辺の警護に必要であるとみているため、口うるさいことも言わない。
黒鋼の粗暴さに声を荒げる者が多い城内では、比較的気楽な相手であった。
普段は権高さを主張しない彼がわざわざ自分を呼びつけた理由は何かと疑問に思いながら、案内されるがままに屋敷へと向かう。
座敷に通された時には相手は既に座っており、形容の出来ない難しい顔をしていた。
「至急の用とはなんだ」
座る間も惜しく、ずばりと用件を切り出せば上役はふむ、と大きくため息をついた。
「そう急くな」
「用がねえなら俺は帰るぞ」
とりつくしまのない黒鋼の応えに、上役も諦めたように目を閉じた。
「実はな、お前さん先の戦いで敵将を生け捕っただろう。
どうにもあちらの国では大層な御仁らしくてな」
それがどうしたと黒鋼は眉を顰める。戦いで雑兵をいくら倒したところで戦況は変わらない。敵将を討つか、あるいは捕らえるかしなくては意味がないのだから。
「もちろん正式なやり取りは宰相あたりがやってるさ。だがなあ、奴さんたち、それだけじゃ不安なようだ」
怪訝な顔をする黒鋼に、ついと手にした煙管で奥の襖を指す。
開けてみろ、ということらしい。
不審に思いながら黒鋼が襖を開けると、そこには見慣れない異国の衣を纏った女が数名座っていた。
年のころは十代~二十代程度と様々だが、どの女も見目は整っており不安げな様子で黒鋼を見つめる。
「お前さんに、だとよ」
要するに、北方の国は正規の交渉を進める一方で、脅威と感じた相手に極秘裏に手を回し懐柔を図っているらしい。
黒鋼の捕らえた将というのはよほど重要人物のようで、身を竦ませる女たちの後ろには小山のように絹や中身のようと知れぬ煌びやかな小箱が積まれている。
この様子では黒鋼以外にも交渉にあたっている文官や戦で手柄を立てた武官ら、多数の有力人物にも女を宛がったり貢物を贈っているのだろう。
どうするよ、と上役が目で問うのに、黒鋼は短く「くだらねえ」と吐き捨てた。
「持ってかねえのか?」
にやりと人の悪い笑みで上役は分かったことを聞く。
「いらん、突っ返しといてくれ」
黒鋼の応えは短く、彼はそのまま背を向けると用は済んだとばかりに屋敷を出た。
敵の送り込んだ女など信用の置けなさでは第一だ。賢しらぶるつもりもないが、色や欲に目が眩んで自らの本位を見誤るほど愚かなつもりもない。
次に姫巫女と会った時に「相変わらず妙なところで律儀ですこと」と笑われたが、それで仕舞いだと思っていた。

黒鋼が女や金品を突き返したのを、どうやら相手は「不足があって受け取らなかった」と曲解したらしく、今度はわざわざ帝の正式な交渉を通して黒鋼に奴婢として若い女を送り込んできた。
いい加減苛立ちとともに黒鋼自身が和睦の使者に受け取るのを断る旨を告げたのだが、一度「こうだ」と思い込んだ相手の思考は容易く直りはしない。手を変え品を変え、なんとかして黒鋼に受け取ってもらおうと趣向を凝らした。
好みの女ではなかったのかと、趣の違う女が幾人も入れ替えで差し出される。名のある武人だと聞いて、豪奢な拵えの太刀が贈られる。
黒鋼もだんだんと怒りを通り越して呆れ始めた。
最後の方になると、北方の国としても懐柔の意図よりも意地と面子の方が比重が重くなってきたらしい。
既に生け捕りにした敵将は解放されている。殺さずに帰国を許したその謝辞としても、是が非でも黒鋼に何か受け取らせねば、と躍起になっているのだった。
「小太刀の一つでも受け取れば収まりがつくのでは」
などと蘇摩が助言したが、如何せん装飾でごてごてした刀を愛でる趣味は黒鋼にはない。
しばらく受け取る受け取らないの応酬が続いたが、この数日ほどぱたりと全ての音沙汰が無くなった。

ようやく諦めたか、と登城した黒鋼を待っていたのは、困惑顔の姫巫女と呆れ顔の帝だった。傍らには蘇摩が控えている。
そして。
「黒鋼、貴方にと」
姫君がその細い指先で示した先には。
ふわふわとした淡い金の髪と、海から切り取ったのかと思うほど蒼い瞳の生き物が二人。黒鋼を見つめていた。
そして話は冒頭に戻る。


 

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