二次創作中心ブログ。
ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。
妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。
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ちび双子拾うお話の続きです。
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ほかほかと温まった体をタオルで拭ってやり、服を着せる。
さすがに子供服などないので、黒鋼は自分のシャツを着せて袖と裾を折る。それでも随分とダボダボで、サイズの合わないワンピースでも着ているような格好になった。
双子に警戒の色はなく、黒鋼のすることを興味深々に見ている。
警戒心の無さに呆気にとられるやらだったが、それよりも風邪をひかせてはいけないと頭をタオルで拭いていると、双子のお腹の虫がきゅるきゅると情けない悲鳴を上げた。
恥かしそうに顔を見合わせた双子は黒鋼の顔を見ながらおずおずと口を開いた。
「あの…」
「…お水ください」
「は?」
当然水で腹など膨れるわけが無い。けれど、この子どもたちが今まで空腹をそうして紛らわせてきたことを想像するのは容易だった。
黒鋼の中で、もやもやと形のない物にたいする怒りがこみ上げてくる。
黙った黒鋼の機嫌を損ねたとでも思ったのか、双子の表情が徐々に曇っていく。まだしっとりと濡れたままの髪がいかにも重たげだった。
「嫌いなもんや食えないもんはあるか?」
何を聞かれているのかおそらく意味が分からなかったのだろう。双子がきょとん、と首を傾げた。
その頭をがしがしと手早くタオルで拭き、折り畳み式のテーブルの前に座らせる。
「好き嫌いが無いなら飯は何でもいいな」
冷蔵庫の中身を確認して適当に食材を選りだす。幸いなことに台風だと分かった時点で食料を切らさないように多少は買い込んであったため足りない物はなかった。といってもすぐに用意出来るもののほうが良いと判断したのでそんなにごちゃごちゃと準備はしない。
ベーコンともやしと玉葱を炒めてポットの湯でレトルトの卵スープを作る。
一人暮らしでそんなに食器があるわけでもないのでご飯はお握りにしてアルミホイルの上に乗せた。
「ほら、食え」
双子の前に皿を置くと驚いたように蒼い瞳が黒鋼を見上げてくる。
本当に食べて良いのか、信じられないとでも言いたいような顔だった。
仕方なくスプーンを持たせてやると、ようやく自分たちの食事だと理解したらしく嬉しそうに笑った。
はにかみながら「いただきます」と小さく手を合わせる。
よほど腹を空かせていたのか、一口二口食事が進むと勢いがついた双子は大慌てで食事をかき込む。よほど急いて食べたのか度々咽る二人に温めに入れた茶を渡してやりながら黒鋼も自分の分を食べた。
自分の分、とは言っても双子のそれと対して変わらず、丼についだ白米の上に鰹節と醤油をかけただけだが。
急ぐあまり小さく咽たり頬にご飯粒をつけたりしている双子の面倒をみながら、自分の食事を終えると腹のくちくなった二人がごしごしと瞼を擦っていた。
保護され安心したのと満腹になったので眠くなったらしい。
黒鋼が自分の使っているベッドで寝るように促すと、もう怖じたり遠慮するような余裕もないらしく素直に頷いて双子は布団に潜り込んだ。
あっという間にすう、っと寝入ってしまった双子の寝顔を見ながら、黒鋼は自分以外の人間と寝食を共にすることが久しぶりだと気がついた。
思いも寄らない拾い物だったが後悔はしていない。
すやすやと眠る子どもの薄い体を見ながら、そう思った。
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