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思いついたので書きました。
では下からどうぞー。
小さいさんたちはにゃんこである。
名前はまだ無い。
名前が無いのには理由がある。
飼い主らしいアシュラさんはのんびりおっとりの飼い主さんなので、小さいさんたちも仕方ないと思っている。…諦めているなどと言ってはいけない。
お父さん猫に愛情がないわけではない。四匹ともご町内のボス猫であるお父さん猫が大好きである。
今はまだちっちゃくて一緒にはいけないけれど、もうちょっと大きくなったら一緒にパトロールに連れて行ってもらうのだ。
問題はお母さん猫たちだ。
「白ちゃん白たん、…黒だと可愛い呼び方少ないのー」
「お花の名前も可愛いよー」
「宝石の名前もいいよねー」
きゃっきゃと嬉しそうに名前候補を連ねていくのは見ていても分かるくらいに楽しげだ。
次々に出てくる名前候補は既に100を超えている。
お母さん猫たちが名前に夢中になっている間に何となく数えだして、気がついたらそんな数だった。
黒白あわせて四匹の仔猫は、ふかふかのクッションの上でのびのびと寝そべりながらお母さんたちの名前談義を聞いている。
耳と尻尾が時折ぱたぱた揺れる。平和だ。
「黒…黒…思いつかないー…」
「白ちゃんとハクちゃん…もっと可愛いのが…」
頭を抱えていた白猫二匹がはっと顔を上げた。そのまま窓辺に乗り上げ、二匹揃って今日一番の嬉しそうな声を上げた。
「黒様お帰りなさーい!」
「あのね、あのね、今日は小さいさんたちがね可愛かったんだよー」
あ、リセット。と四匹が呟いた。
いつもこうである。
お父さん猫が帰って来た瞬間、嬉しさにテンションの上がりまくったお母さん猫たちはそれまで考えていた名前を忘れてしまうのだ。
いっそとーたんがつければいいのに、と小さいさんたちは思う。
けれど、どうやらお母さん猫たちは「頑張って考えなきゃ!」と使命感に燃えているらしい。
小さいさんたちは悟っている。
名前がつくのはもう少し先のようである。