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前回がファイのグダグダターンなら今回は黒鋼のグダグダターン。
若造には頑張ってもらわないといけません。
今日はウイルス対策ソフトを新しくしてたのですが、マカフィーさんの聞き分けのなさに泣かされました。
アンインストールにどんだけ時間くったか…。あの時間で小話もう2本仕上がるわ!(涙)
うう、感想を奉納しにいきたいところがいくつもあるのに…。時間泥棒め…。
軽くなりましたよ!との謳い文句に踊らされてノートン先生に変えてみたのですが…。
絶対作業の邪魔すんなよ、と念を送りつつインストール作業開始。
…数年前使ってたときとは比較にならないくらいインストールが早かったです。
この調子で頼みます、マジで。
あとは親父殿のデジカメ画像整理をしなければ…。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞー。
当分会わないよ、と告げられたのは事後の気だるいまどろみの最中だった。
「ちょっと論文にかかりきりになるから、あんまり研究室に顔も出さなくなると思うし…」
だからしばらくは大学には行かないのだと、眠気に重そうな瞼を擦る相手の金色の髪を撫でたあの夜が最後だった。
黒鋼は自分の携帯を開いた。
そこには着信もメールの新着もない。
思わずため息をつきそうになった自分を訝しんで、携帯を折りたたんだ。
シンプルな黒い携帯にたった一つつけられた犬のストラップはファイが面白がってつけさせたものだった。
はずすのが面倒で、何となくつけたままにしてある。
(らしくねえ…)
会わない、と言った後、当然ながらファイの姿を大学構内で見ることは無かった。
五日が過ぎていたが、最初の数日はそれなりに反応のあったメールも昨日の日付が変わった直後に返された「平気だよ」という一言を最後に途絶えた。
論文に集中しているのだろうとは思う。
だが、ともすれば寝食を本当に忘れてしまう性格を知っているだけにどうにも放っておけないのだ。
ただでさえ細い体から肉どころか水分までごっそりと抜けてしまうと、本当に生きているのかと思うほどに気配が薄らぐ。
何度も呆れて叱りつけた自分を不思議そうに見つめて、「じゃあ一緒に食べよう」とようやく人らしい反応を見せた時にはらしくも無く安堵したのだが。
ファイのことを考えると黒鋼はどうしても、緊張と気まずさに怯みそうになる。
自分と彼との関係はどうにも形容しようが無かった。好き嫌いで言えば、ある程度好ましいという方向に針が傾くのだが。それでもどうにも言葉では上手くいかない。結論がよく分からず、結局いつも体を重ねる方が簡単だった。
一度も厭う素振りを見せたことなど無いけれど、同性に抱かれるという行為をファイが嫌悪したとしても仕方がないことなのだと黒鋼は思っている。
そもそも自分のことすら分からない。何故自分がファイを抱くのか。分からないのに、その時は何の疑問も抵抗も黒鋼の中には存在していないのだ。
ずるずるとなし崩しに始まった関係は始まりが始まりであるだけに、どこで区切りをつければいいのか分からない。
気がつけば僅かな苛立ちが胸を苛んだ。
確たる約束など、何一つとして無い。
自分が相手のテリトリーに踏み込むことは許されていないことなど、百も承知で、無理に踏み入ろうとも考えてはいなかった。
(本当に…らしくねえ)
けれど。
『当分、会わないよ』
泣き出しそうなあの夜の顔が頭から離れない。