忍者ブログ
二次創作中心ブログ。 ただいまの取り扱いは忍者×魔術師。 妄想と現実は違う、ということを理解した上で二次創作を楽しめる方はどうぞ。 同人、女性向け等の単語に嫌悪を感じる方は回れ右。 18歳未満は閲覧不可。 無断転載禁。
[1071]  [1070]  [1069]  [1068]  [1067]  [1066]  [1065]  [1064]  [1063]  [1062]  [1061
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

春望の続きです。

午前中は母の携帯の機種変更に行って来ました。
今の携帯って高いなあ、そこまで高い金払いたかねーや、というのが正直な感想。
4万とか5万とかかけられんなー、と思います。
色々機能あっても使いこなせないまま終るし。色々オプションつけたいと思っても、それってパソコン使えばいいことなのがほとんどだし。

一日のうちで携帯使用の頻度の高さで言うと、一番はブログ更新用のネタを書いている時なので、メールとか辞書機能がもっとどうにかならないかなー、とは思います。
芸能人の名前とか入れられてても使わないんだもの…。

休日ですが今晩は送別会という名の食事会なので呼び出しがかかっています。休みの日は極力職場関係は避けたいのですが…。浮世のしがらみにちょっくら付き合ってきます。


拍手ありがとうございます。


では下からどうぞ。








案内されるままに歩みを進め門をくぐる。
一番中心になっている建物は雨戸がしっかりと閉められ、ファイはそちらではなくすぐ脇に建つ離れのような小屋に通される。
近在の住人らしき人間がすでに何人か立ち入って世話をしていたようで、雨の中をやってきたばかりのファイにすぐに乾いた布が渡された。
無作法にならない程度に身なりをつくろい、急いで病人の元へと急ぐ。
明りを灯しても薄暗い部屋に女は横たえられていた。
ファイは静かに女の顔を見下ろす。いつ見ても化粧気のない顔だった。気取ったところや、驕ったようなところが少しも見受けられない慎ましやかな人だと思った。
だから、この人が黒鋼の傍にいるのならば、仕方がないと思ったのだ。思うようにしたのだ。
いつの間にか緊張していたらしい自分の心を落ち着けるように深く呼吸をする。
今は自分の煩悶に囚われている時ではない。
熱があるのか、じっとりと汗をかいているようで呼吸は荒い。
脈をとり症状の確認をすると、ファイはすぐに持ってきた薬草からいくつか選り分け、薬を煎じ始める。
鍋に湯を沸かす間に、多少事情の分かる隣家の女性に、元々の病気が無かったどうかなどを聞いた。
黒鋼の元に身を寄せた時分から、体が丈夫でないことを周囲も聞き知っていたらしい。
以前暮らしていた場所が魔物の襲撃に巻き込まれ、その時に傷を受けて以来のことのようだった。
神経に作用する毒を持つ魔物も少なくは無い。瘴気にあてられたとも考えられる。
幾度かファイも元にもそんな人間が薬を求めてきたことがあった。
解熱と解毒の作用のある薬草に、鎮静効果のある薬を合わせた鍋からは独特の匂いが漂い始める。
薬湯をゆっくりと煮詰めながら、ファイはぼんやりと考えた。
もういいではないか、と。
黒鋼がこの人と穏やかに暮らしていけるなら、自分がそれ以上に望めるものも、与えるものも無いのだから。
そう思うと泣きたくて泣きたくてしょうが無かったのに、可笑しなことにファイの顔には微笑みしか浮かばなかった。
微笑を浮かべることしか出来なかった。

夜になると雷雨が激しくなり、ファイは自分の住処に帰ることが出来なくなった。夜に病人の容態が変わることを恐れた近所の人間が引きとめたこともあり、近くの家の女房たちと交代で病人の看病にあたることにする。
熱があっても時折目は覚めるらしく、その度にファイの煎じた薬湯を飲ませていたためか、日付を越えるころには大分呼吸も落ち着き、顔色もいくらかは青白いものの最初よりは随分と良くなっていた。
重い瞼を堪えて枕元に座っていた隣家の女性に声をかけ、不寝番をかってでた。
呼びつけておいてその上申し訳ない、と恐縮する女性に、容態が急変してはいけないし何か変化があればすぐに知らせるから、と柔和な笑みで伝えれば納得したのか遠慮しながらも素直に引き下がる。
ファイがここに着いて半日ほどだが、近所の人間はその前から看病にあたっていたのだ。疲れているのも当然だろう。容態の変化も心配だが、他の人間の体調も心配だった。こんな時、何故自分が治癒魔法が使えないのか、と歯痒く思う。
子どもは近くの家に一時的に預けられているらしい。寂しい思いをさせているのを長引かせるのは気がひけた。多少無理をしてでも黒鋼の妻を早く治してやりたかった。
家族を持たないファイは元の山小屋に帰れば気ままな一人暮らしだ。
それさえも、もうすぐ終るかもしれない。
知らず知らずのうちに、この国で暮らす最後を覚悟している自分に気がついて、ファイは俯いた。今は黒い髪を照らす行灯の明りが、ゆらゆらと揺れていた。

どれほど時間が経ったのだろうか。
気がつくと、床に臥していた女性が瞳を開いて、ファイをじっと見つめていた。
「体調は大丈夫ですか?」
見知らぬ男が同じ部屋にいるのは不安だろう、とファイは別室にいる女性たちに声をかけようとした。
「金、の髪…」
ぽつりと、女の唇が震え、小さな声が零れた。
夜の静まり返った空気にそれはよく響く。
はっと女の顔を見つめたファイの表情は強張っていたのだろう。
ファイに走った緊張を肯定を受け取ったのか、弱弱しいながらも女は更に強くファイを見つめ続けた。
「金の髪に、…蒼い瞳…」
咄嗟に何を言っているのか分からなかった。今のファイは魔術で髪を色を変えてある。何故、と思い髪に触れた。
頭に手をやった拍子に行灯の明りで出来た影が淡くゆら、と動く。
それほど強い明かりではない。けれど小さな炎に照らされた髪は、日中に見る髪の色とは微妙に印象を異ならせている。
橙にも似たように赤く照らされた髪が、夜目には暗闇に遮られた金色に錯覚されたのだと気がついた。
金の髪。女性の見たそれは真実ではない。
けれど、それ以上に違えようのない真実へと辿りついてしまった。

「貴方が、旦那様の待ち人なのですね」

女の声には答えなかった。
黒鋼が自分を待っている。そんな保証はどこにもない。
信じられない。


 

PR
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
最新記事
ブログ内検索
管理人
HN:
仮名
性別:
女性
趣味:
読書
自己紹介:
成人。
みかんの国出身。
エネルギー源は酒。
忍者ブログ [PR]