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日本国永住設定長編の続きです。
目指せえろすです。
アンケートの第三位は永住設定の裏でした。
うっかり暴走してこれだけで二話使いそうになったなんてそんな…。
自制心が打ち勝ちましたよ!
でも個人的には物足りない気持ちでいっぱいです。
直前に好きサイト様の色っぽい真剣床勝負見てるから余計に自分のが「うああああ~!!」ってなるんだと思います。
あ、黒鋼が喋ってない…。
拍手ありがとうございます。
では下からどうぞ。
それは奇妙な無言劇のようであった。
何を考えていたわけでもない。
何をしようと思っていたわけでもない。
ただ、目覚めた瞳が、見つめる瞳が合った。それだけのこと。
黒鋼の指が触れたファイの肩は驚くほど冷えていた。
苦しげに息をつめる顔も冷え切った体も哀れで、少しでも温めてやりたいと思った。
掛け布団を持ち上げそっと肩を引き寄せると、ファイは全く抗うことなく黒鋼の横に潜り込んだ。
冷えた夜気とそれよりも冷たい細い体に、黒鋼の背もぶるりと震える。
じわりと表面から内側へと沁みていく布団の中の温もりにファイがほっと体の緊張を解いた。
どちらからも、言葉は発されない。
ただ、じっと。互いの瞳を覗き込む。
何もかも隠してしまうには、雪に煌く月明かりは明るすぎた。
黒鋼の赤い瞳の中には、溢れ出した恋情に切なく泣き出しそうなファイの顔が映っている。
ファイの蒼い瞳の中に、焦がれるあまり内側から噴きあがる熱に耐え切れず痛みを堪えるような黒鋼の顔が映っている。
どちらもが、苦しそうな相手をただ安んじてやりたいと願い、手を伸ばす。
焦がれていた。渇いていた。餓えていた。
指先に点る熱が体じゅうに伝播していく。瞼を閉ざして、唇を触れ合わせたのは、もうどちらが先とも知れなかった。
黒鋼の手がファイの帯にかけられても、ファイはそれを止めない。
うっすらと開いた瞳が、先を求めて黒鋼を見遣る。
縋るように黒鋼の首にファイの腕が絡まり、唇が更に深く重なり合う。
嫌がれば、引くつもりだった。
もしファイが少しでも嫌がれば、怖がれば、黒鋼はすぐにでも自分の愚かさを罵りながら手を離した。
もし黒鋼が少しでも嫌がれば、忌避すれば、ファイはすぐにでも自分の浅ましさを恥じて手を離した。
なのに。
触れ合う肌の、交わされる視線のどこにも。どこかしこにも、溢れているのは、相手が自分を求めているという確信だけ。
帯が解かれ、はらりと冷気の中に裸身が曝け出される。
ファイがためらいながらも黒鋼の夜着の合わせを開いていく。それを口付けたまま遮り、黒鋼は自ら袖を引き抜いた。
言葉も何も無かった。腕の中の互いの温度だけ。
押し殺せない呼吸が合わさる唇の僅かな隙間から漏れる。
ファイの腰を抱いていた黒鋼の手が、胸元に触れ、尖りをそっと撫でる。
あ、と小さく声をあげたファイの唇をペロリと舐め、また口付けに没頭していく。
その間も指はいたずらに胸元をせめたてて、ファイは初めて触られる他人の体から与えられる感覚に震えた。
知識として性交を理解していも、ファイは女の体すら知らない。
男同士でこんな風に体を触れ合わせて、背筋を震わせている自分が、ファイはひどく不思議だった。同時にこれ以外の方法があると思えぬほどに、しっくりと感じる。
やり様などわからぬままに、黒鋼の肩や腕にそっと白い指先を這わせる。
自分とは全然違う体に、興奮するのが分かった。
黒鋼もそれは同様で、肌の上をすべるだけの覚束ないファイの手つきに腹の奥からぐっと熱がこみ上げる。
唇を離せば、離れるのを惜しむようにつっと唾液が糸をひいた。
濡れた男の唇が何故こんなにも艶めいて煽り立てられるのか。
獣のように首筋に噛み付いて性急にファイの性器に指を絡めるのにも、白い腿をびくりと震わせただけでファイはそれを甘受した。
男の匂いどころか、時折人間かと一瞬疑ってしまうほどファイは生物としての匂いが希薄だった。少なくとも今までは。
だが今、黒鋼に慰撫され他人に触れられる感覚に戸惑いながらも、煽られるままに欲望を張り詰めさせていくその姿はひどく淫猥で、黒鋼はぞくりと寒気にも似た快楽への期待に背が震えるのを感じた。
乱暴とも思える手つきで激しく擦れば、たちまち耐え切れずに中心から白い欲望が溢れ、黒鋼の手とファイの下肢を汚した。
は、は、と獣のような呼吸を隠さないファイの浅ましさにこそ、黒鋼は駆り立てられる。
呼吸すら整わぬ相手の両足を一層広げさせると、内側を探るように指を突きたて、慣らす。
自らが零した精を塗りこめられる羞恥に気づき、ファイは咄嗟に両手で顔を覆った。
けれど、見ないことで黒鋼の指がどんな動きをしているのか、余計にはっきりと感じ取れて喉が震えた。
出てくるのは嗚咽とも嬌声ともとれない呻き。
何もかもが黒鋼に知られてしまっている。そう思えば、感じるのは羞恥や快楽よりも大きな幸福だった。
黒鋼の大きな体が覆いかぶさり、薄い尻肉が押し広げられて熱い塊が宛がわれる。
ずるりと押し込まれていくあまりの衝撃に、ファイの唇が戦慄き、瞳からぼろぼろと涙が溢れて止まらない。
耳の奥にギシギシと肉の割り拓かれていく軋みがこだまするようで、かすかな悲鳴を上げて黒鋼の体に力いっぱい爪を立てた。
痛みに泣きながら、蒼白になった顔色を案じた黒鋼が口付けるのに安堵を覚えて、一層きつく抱きつく。
痛みとともに体の中に自分以外の人間の熱を感じて、ファイの腰の奥がじわりと疼く。
それが痛みなのか、快楽なのか分からない。涙で滲む視界では黒鋼の形さえ覚束なくて、爪を立てた体の熱さと内側で脈打つ大きさとを必死で追いかけ、黒鋼の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
日向の匂いがした。
きつく締め付けるファイの体に、黒鋼も長くは落ち着いてもいられず、少しずつ頬に赤みの戻ったことを見止めると、ファイの腰を鷲掴むとぐいっと自らの腰を押し付けた。
大きな動きでは無かったものの、目を見開いたファイの唇からひゅっと吐息が漏れた。
獰猛な獣が得物を前にしたときのように、黒鋼は目を細め、唐突にファイの体を揺すった。
「あ、ぁあ、ゃあっ」
揺さぶられて、頭の中の何もかもがぐしゃぐしゃになっていく。
引きずり出されるたびにぞっと体中から汗が噴出すような感覚に襲われる。それを怖いと思う間もなく、大きな熱が押し入ってくるのをただ苦しいと思う。
なのに、喉から零れるのはまるで強請っているような聞いたことも無い自分の声で、それが苦痛とは程遠い泣き方なのに自分で気がついてしまう。
逃げたいのか、早く解放して欲しいのか、あるいはもっと追い立ててくれとせがんでいるのか。ファイの腰はゆらゆらと動いて黒鋼をさらに奥へと飲み込んでいる。
「いっ、あぁ…」
腕だけではなく、足までを黒鋼の腰に絡ませ、必死に与えられる衝撃に耐えていた。
時折、浅く突かれる動きにもどかしさを感じ、自ら受け入れやすいように足を開く。
奥まで深く入ってくる黒鋼がある一点を擦ると、びくびくと体が勝手に黒鋼を締め上げてしまう。そこを執拗に突かれて涙を零してしゃくり上げながらも、やめてくれとはけして言わず、その追い上げられる息苦しさを享受した。
黒鋼は抜き差しするたびに涙と声をあげて反応を返すファイに一層煽られる。もっとゆっくり、と思いはしてもどうにも腰が止まりそうに無い。それどころかより相手を求めて深く繋がりたいと思ってしまうのだから仕方がない。
与えられる刺激に対する鋭敏な感覚とは裏腹に、骨がバラバラになってしまうんじゃないかと思うくらいファイは自分の体の感覚が遠くなっていく。
がくがくと揺さぶられる腰と足はもう痺れて解けてしまったかのように自分の意思で動かせる気がしない。
ただ、黒鋼に与えられるままに反応し、望むままにこたえる。
それで構わない。
肌が触れ合うということは、体が繋がるということは。何も隠しようがなくなってしまう。
醜さも浅ましさも愛しさも、直に相手に伝わっていく。
これは魂を触れ合わせることなのかもしれない、とふと思った。
何もかもが溢れていく。
体の中で爆ぜた熱を感じながら、ファイは黒鋼の体に絡めた足を震わせた。