その時兄は当然の顔でお造りの皿を体育教師に押し付けていた

堀鐔小話です。

微妙に風邪気味なのか鼻がぐずぐずします。
こんな体調だからか毎朝仕事行かなきゃ…と思うとそれだけで疲れます。
休みが遠い…。

拍手ありがとうございます。

では下からどうぞ。

ユゥイは首を傾げた。

長芋のこのわた添え。

新年会の席で他の教職員の前に出されたその小鉢が、なぜかファイとユゥイの前には無い。
代わりに、焼き穴子の千切りワサビ添えがちんまりと盛られた小鉢。
そういえばシメ鯖が並んだときも、双子の前にはうずら卵にウニを塗って焼いた皿が出た。

疑問に思い、和装を着こなした給仕の女性に声をかける。

「あら、ご予約のお電話いただいた時に、外国のご出身の方が二名様いらっしゃるとお伺いしていまして。
青魚の臭いのきつい物やクセの強い物が苦手のようなので、出来るなら何か代わりにお出しするようにと承っておりますよ」

にこにこと、あっさり他意無く言ってのけた彼女の言葉に思い浮かんだのは、今日の幹事を割り振られた体育教師だった。