家庭の味

日本国永住設定小話。

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では下からどうぞ。

遠征の帰路、お願いがあります、と忍軍の別部隊の忍数人が黒鋼に頭を下げた。
何事だと面食らう黒鋼をどう思ったか分からないが、代表らしい一人が意を決したようにひた、と黒鋼の目を見据えた。

「どうか…。
どうか…。味噌汁を分けていただけませんか…！」
「は？」

材料を煮詰めた後に天日に干して固形にした味噌汁は携帯の可能な貴重な陣中食だった。
一人数個は持参する。
今回はそのような兵糧を使うまでもなく片付いた遠征だったのだが…。

「白の御方の作った味噌汁がそれはもう旨いと聞きまして…！どうか一食だけでもっ…」

疑問に思う黒鋼の前でとうとう忍たちは土下座まで始めた。
通常は城の膳部の人間が用意するのだが、黒鋼の兵糧はファイが作っている。
最近は味噌作りも覚えたらしく、大豆から自分で仕込んでいたのだった。
ファイを忍軍の賄いに推薦しようかと少し本気で悩んだ。